タスクが終わっていないのに何も報告しない部下、実は上司が悪いワケ:「キレイごとナシ」のマネジメント論(3/5 ページ)
仕事の現場では、しばしば「タスク」という言葉が飛び交う。しかし、このタスクという概念を正しく理解せずに使っている人も多いようだ。
報連相の重要性を再確認する
さて、タスクを適切に細分化しても、最終的に必要となるのが報連相だ。
報連相とは「報告・連絡・相談」の略で、組織内コミュニケーションの基本である。デジタル化が進み、メールやビジネスチャット、オンライン会議など便利なツールが増えた反面、実際のコミュニケーションが希薄になるケースも増えた。だからこそ余計に、主体的な報連相が大事な時代になった、といえるだろう。
報連相が不十分だと、上司は当然不安になる。
「この仕事はどの段階まで終わっているのだろう」
といった疑問が解消されないからだ。上司は部下を追いかけ回して状況確認をせざるを得ない。それが積み重なると、会議が長引き、部下は言われない限り動かなくなり、「指示待ち部下」が出来上がる――という悪循環に陥る。
従って、今こそ報連相の重要性を再確認しよう。やるのは部下だ。部下に対する啓蒙(けいもう)が不可欠である。
報告・連絡・相談とはそもそも何か、説明できるか?
それでは、そもそも報連相とはいったい何なのか? キチンと解説できる人はどれぐらいいるだろうか? ここでカンタンに解説したい。
報告・連絡・相談には、それぞれ意味とタイミングがある。
- 連絡:事実や情報を関係者に伝えること(発生型)
- 報告:進捗や結果を関係者に伝えること(設定型)
- 相談:迷ったときにアドバイスやヒントを得ようとすること(設定型)
「連絡」は、例えば「明日の朝10時に会議がある」「資料が届いたので確認するように」といった、比較的シンプルな情報伝達を指す。
連絡は「発生型」だ。意識しなくても誰にでもできる。だからこそ怠ると、
「なぜ連絡しなかったんだ!」
と注意される。周囲からの信頼を著しく落とすだろう。報告や相談に比べて心理ハードルが低いため、絶対におろそかにしてはならない。
一方で「報告」は、仕事の進捗や結果を依頼者や上司に伝える行為だ。
連絡と違い、こちらからタイミングを図って伝える必要がある。だから「設定型」なのだ。意識が低い人は、ついつい報告を怠る。
例えば「研修のアンケート結果がどうなっているか」「商談の進捗はどこまで進んでいるか」など、上司や関係者が気にしているポイントを先回りして報告することで、状況をスムーズに共有できる。
報告をキチンとする人は、一目を置かれることは間違いない。
最後に「相談」だ。「相談」は、知恵を借りるためのコミュニケーションである。
「こういうときは、どうしたらいいんですか?」
「課長だったら、どう対処しますか?」
このように問題の解決策についてアドバイスをもらうときに使う。
ただ、「相談」の意義はそれだけではない。上司に対するインセンティブ(報酬)でもある。部下が相談してくれれば上司は頼りにされていると感じ、モチベーションが高まる。このことは理解しておこう。
仕事をうまくやる人は、たとえ相談ごとがなくても、相談を持ち掛けたりする。営業の世界でもそう。お客さまに情報提供するばかりでなく、相談することで関係を築くのがトップセールスだ。日ごろの何気ない問いかけが、職場の関係を温かくすることも多いのだ。
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