コラム
部下もあきれる「自己陶酔型リーダー」に共通する“話し方”:「キレイごとナシ」のマネジメント論(3/5 ページ)
部下たちは形だけ聞いているふりをするが、おそらく何も頭に入っていないだろう。
データの洪水で頭がパンクする部下たち
「自己陶酔型リーダー」を上司に持つ部下たちは苦労する。
先日、あるIT企業の会議に参加する機会があった。営業部長が5人の部下を集め、徹底的にデータ分析を行った営業戦略を語り始めた。
「前年比の獲得顧客数は見かけ上110%だが、既存顧客が約8.3%減少し、新規顧客が約18.3%増加している。この中でアクティブユーザー率を加味して計算すると実質的には顧客数は2.7%減少していることになる」
部長は次々と異なる切り口のグラフを見せながら、データ分析のスキルを惜しげもなく披露していった。実に20枚ものスライドを情熱的に説明する姿は、まるで自分の分析力を誇示するかのようだった。
しかし部下たちの表情は次第に曇っていく。後に分かったことだが、5人の部下のうち、部長の話を理解できたのはたった1人だけだった。残りの4人は途中で完全に置いてけぼりになっていたのだ。
会議の後、部長は嘆いていた。
「どうして彼らは理解できないんだ。こんなに丁寧に分析して、資料も完璧に作ったのに。最近の若い奴らは、意識が低すぎる」
部長は自分の努力を認めてもらいたいという承認欲求の塊となり、相手視点で物事を考えられていなかった。情報を伝える側の責任を忘れているのだ。
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