仕事が遅い部下に“あるテクニック”を教えたら、「チーム全体の残業時間」が3割減ったワケ:「キレイごとナシ」のマネジメント論(5/5 ページ)
仕事の効率化や部下育成に悩む上司やリーダーは、ぜひ最後まで読んでもらいたい。
タイムボクシングを導入する際の注意点
タイムボクシングはシンプルながら効果的だが、導入には以下の点に注意が必要だ。
適切な時間配分
最初は各タスクにかかる時間を正確に見積もるのが難しい。少し多めに時間を設定し、徐々に調整していくとよいだろう。
バッファの確保
予定外の作業が入ることも考慮し、一日の計画には余裕を持たせることが重要だ。ある若者は午後の時間帯に「対応枠」を作ることで、急な依頼にも対応できるようにした。
休憩時間の確保
集中力を持続させるためには、適切な休憩が必要だ。若手社員の場合、25分作業したら5分休憩する時間管理術「ポモドーロ・テクニック」を併用することでより効果が高まった。
タイムボクシングが組織全体を変えた驚きの展開
若手社員の変化に驚いた上司は、チーム全体にタイムボクシングを導入することにした。すると、個人の業務効率だけでなく、チーム全体のコミュニケーションも改善した。
「○○さんは今、この時間帯はこの作業に集中している」ということが共有されたため、不必要な割り込みが減少。また、タイムボックスを共有することで、お互いの仕事の優先順位や進捗状況を理解しやすくなった。
さらに、会議の時間も明確に区切られるようになり、だらだらと長引く会議も減少。結果として、チーム全体の残業時間が平均30%減少した。
冒頭で触れた「想像を超える効果」とは、一人の先送り癖のある部下への対応が、組織全体の働き方を変えるきっかけになったという点だ。
当初、上司は問題を抱えた若手社員一人の問題解決を目指していただけだった。しかし、このシンプルなテクニックが思わぬ波及効果を生み、組織の文化そのものを変革する原動力となったのだ。
意志の弱さや能力の問題と思われていた「先送り」が、実は効果的な時間管理法の欠如だったことに気づいた瞬間でもあった。
まとめ
タイムボクシングは、単なる時間管理術を超え、仕事への向き合い方そのものを変える可能性を秘めている。
「この時間枠(タイムボックス)では、このタスク処理に集中する。他のタスクの割り込みは許さない」
このシンプルな「割り切り」がいいのだ。
部下の先送り癖に悩む上司は、まずはこのシンプルな手法を試してみてはどうだろうか。個人の効率向上だけでなく、組織全体の生産性向上につながるかもしれない。
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