マレーシア&カンボジアの「TSUTAYA」人気のヒミツは? 売れ筋を聞いた(5/6 ページ)
CCCが、アジア太平洋で「蔦屋書店」などの出店を重ねている。台湾12店舗、中国12店舗、マレーシア3店舗、カンボジア1店舗を展開し、開業時には行列ができることもあるという。現地では何が売れているのか。
カンボジアでも想定以上の売れ行きに
2025年4月には、カンボジア1号店となる「ツタヤブックストア イオンモール プノンペン」をオープン。同国での展開も、双日との合弁会社が担っている。カンボジアを選んだ理由は、コロナ禍を除いて高い経済成長が続いていて、人口増加が予測されること、日本との友好関係が深いことだという。
「実は、同国の加盟企業の方とは私の知人を介して出会いました。カンボジアは歴史的背景から文化を発信する施設が乏しく、図書館は国内に1つだけ、本屋もほとんどありません。国を良く変えていくには読書を通じて知識を得ることが必要で、書店を出すなら『ツタヤ』を開業したいとのお話をいただきました」(上本氏)
カンボジアといえば、発展途上国のイメージを持つ人が少なくない。しかし、1号店がオープンしたプノンペンの中心部には高級住宅街やホテルが立ち並び、住民の大半は中高所得層のニューファミリーだという。
店舗面積は466坪で、同国の書店では最大規模。書籍はもちろん、文具や雑貨も豊富に扱う。カンボジアと日本の食文化を融合させたカフェレストランもあり、長く過ごせるよう設計されている。
カンボジアでもオープン前から話題を呼び、公式Facebookのアカウントには1万人以上のフォロワーが集まった。開業初日はひっきりなしにお客が来店し、すっからかんになる棚もあったという。
「現地に競合がいないこともあってか、想定以上の売れ行きでした。人口のボリュームゾーンである20〜30代が主な来店層で、全体的に書籍の需要が高く、児童書が最も売れています。カフェも非常に好調ですね」(上本氏)
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