半分に削れば“2倍”伝わる――「メタボな話し方」をやめるコツ:「キレイごとナシ」のマネジメント論(2/6 ページ)
情報過多の時代に、あえて“話を削る”という選択が、相手に伝わる力を倍増させる――その理由と方法を解説する。
「メタボな話し方」では伝わらない
先日、このようなことがあった。ある定例会議にて、営業部長からプロジェクトの進捗を聞いたのだが、いわゆる「メタボな話し方」だった。
「それでは、私から新しい商品開発のプロジェクトの進捗について話したいと思います。この進捗状況を皆さんに、キチンと伝えることがリーダーである私の責任ですから、しっかりと聞いてほしいです」
「たまに、進捗状況なんて必要ないと言う人がいます。しかし私はそう思いません。いや、思いたくない、と言ったほうがいいでしょうか。進捗状況を定期的にお伝えすることが、どれほど大事なことなのか知ってほしいのです。プロジェクトがどのように進んでいるのか、どこでつまずいているのか、メンバーはどんなことで悩んでいるのかを知ってもらえると、私はうれしいですし、メンバーも励みになると思うんです」
脱線こそないものの、ぜい肉のついた言い回しがやたらと多い。2分で終わりそうな話を20分ぐらいかけて話そうとする。まさにメタボ状態だ。
「プロジェクトがうまくいくかどうかは、もちろんメンバー次第ではあります。もちろんそれは分かっています。ですが、とはいえ、今日のこのプロジェクトに関係のないといったら変ですが、会議に出席されている皆さんにだって、もちろん無関係ではないですから、先ほど言ったように、しっかりと私が話すプロジェクトの進捗状況を聴いてもらいたいと思っています」
核心部分にたどり着くまで、ひたすら冗長なフレーズを重ねていく。聞き手は次第に思考停止状態となり、新入社員の一人は途中でうとうとし始めていた。
私はコンサルタントとして同席していたが、話を聞きながら、どう要点をまとめればいいかばかり考えていた。
「メタボな話し方」とは、言い回しがやたらと長く、聞き手にとってくどいと感じられる話し方だ。話の流れは崩れていない。しかし前置きや、よけいなフレーズをいくつも重ねることで、かえって要点が見えにくくなる。
話し手自身は「丁寧に説明している」つもりであっても、聞き手からすると「なぜこんなに遠回りするのか」と感じ、集中力が徐々に削がれていく。
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