何度言っても言うことを聞かない部下が、突然主体的に動くようになった「テクニック」とは:「キレイごとナシ」のマネジメント論(2/5 ページ)
何度注意しても変わらない部下に悩む上司は多い。個人ではなく、組織の空気を戦略的に変えるテクニックを紹介する。
ある中堅商社の営業部で起きた実話
私がコンサルティングに入った中堅商社での話である。
業績は3期連続でダウン。社長は毎週の経営会議で「もっと積極的にお客さまにアプローチしろ」と発破をかけていた。営業部長も必死だった。朝礼で熱く語り、個別面談を重ね、研修も実施した。
しかし、営業メンバー20人のうち、主体的に動くのはいつも同じ3〜4人。過半数は「忙しくて新規開拓なんてできません」「それで本当に売り上げが上がるのですか?」と言い訳ばかり。
皮肉なことに、今期のスローガンは「挑戦」だった。全員が期初に「チャレンジします!」「意識改革します!」と宣言していた。
「みんな口では『やります』と言うのです。でも何度言っても、行動が伴わない。どのように話したらいいのでしょうか?」
私は営業部のメンバー一人一人を観察した。そして7つのタイプに分類し、ある戦略を立てた。ここから詳しく解説していこう。
組織の「2・6・2の法則」を理解せよ
まず大前提として理解すべきは「2・6・2の法則」である。必ずこのような構成になるわけではないが、私はとても参考になる法則だと考えている。
- 20%のできる人
- 60%の普通の人
- 20%のイマイチな人
また、燃えやすいか、燃えづらいかを表現する「自燃人・可燃人・不燃人」についても紹介しよう。
- 自燃人:すぐ火が付くタイプ
- 可燃人:火を付けようとすれば付くタイプ
- 不燃人:どんなに働きかけても火が付かないタイプ
この3つのタイプも、だいたい「2・6・2の法則」が当てはまる。つまり、組織の中の大多数は「可燃人」ということだ。
多くの上司が犯す過ちは、全ての部下を自燃人にしようとすることである。しかし、それは現実的ではない。自ら主体的に動く人は、1〜2割なのだ。つまり上司は、積極的に火を付けようと働きかけることが大事なのである。
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