2015年7月27日以前の記事
検索
連載

「残業キャンセル界隈」名乗る若者が増加中…… 上司はどう向き合うべき?「キレイごとナシ」のマネジメント論(4/4 ページ)

SNS発の「○○キャンセル界隈」が職場にも広がり、「残業キャンセル界隈」を名乗る若手が増えている。背景には働き方改革の誤解や成果への無関心がある。組織の生産性低下を防ぐには?

Share
Tweet
LINE
Hatena
-
前のページへ |       

実は「残業キャンセル界隈」も悪くない?

 ただし、別の視点で考えれば「残業キャンセル界隈」という表現も悪くはない、と筆者は考えている。

 「仕事キャンセル界隈」や「責任キャンセル界隈」であれば大問題だ。しかし「残業キャンセル界隈」は、あくまで残業をしないということだ。つまり仕事を完遂させて残業を回避すればいい(仕事を完遂させているのに、残業を求められたら会社のほうに問題がある)。

 そのために必要なのは、徹底的に認識のズレをなくすことだ。そこで、上司からタスクを頼まれた方には「モーレツ確認」を勧めたい。

 仕事を依頼された時点で徹底的に確認する。その仕事の目的は何か? 期待される成果は何か? 優先順位はどうか? 何を気を付けるべきか? この情報はどこから取得したら最も効率的か? 依頼者が「いい加減にしてくれ」と根を上げるぐらいに、モーレツに確認するのだ。


生産性を上げるチャンスかもしれない

 最初から認識がズレていたら、どんなに頑張っても「そうじゃない」「誰がそうしろと言った?」などと指摘される。依頼者がどんなに丁寧に説明しても、認識のズレはなくならない。従って、依頼された側が意識して認識合わせをするのだ。そうしないと全て確認不足だ、といわれてしまう。

 とはいえ、どんなに最初にモーレツ確認しても抜け漏れは必ず起こる。だから完成させるまでも、何度も「これでいいのか」「この方向性で問題ないか」と依頼者にモーレツ確認するのだ。

 そうすれば自分のスキルや経験がそれほど高くなくても、生産性の高い仕事ができる。その時間内で本当に完遂できるかどうかも、早めに明らかになる。どんなに上司から「今日中に頼むな」といわれても、「今日中はムリですよね」と言い返すことができるのだ。

 つまり「残業キャンセル界隈」を名乗るなら、モーレツ確認で認識のズレをなくし、最短距離で成果を出せるようにすることだ。ムダな作業を極限まで減らせば、「残業キャンセル」も現実的になるだろう。

まとめ

 「静かな退職」や「残業キャンセル界隈」という言葉の裏には、若者の疲れや諦めも見える。しかし仕事から逃げても問題は解決しない。むしろ「ツケ」がたまっていく。いつか必ず、そのツケを払う日が来てしまうものだ。

 上司は若者と向き合い、本当の意味でのワークライフバランスを叶えてあげる必要がある。効率的に働き、成果を出し、充実した人生を送る指導をするのだ。そうしなければ「部下育成キャンセル界隈の上司」と呼ばれてしまうだろうから。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る