部下「出社義務化なら転職します」 上司は引き止めるべきか、去ってもらうべきか:「キレイごとナシ」のマネジメント論(3/4 ページ)
出社義務化で部下が次々辞める時代。管理職はどう向き合えばいいのか――答えは意外なところにある。
出社義務化で失うものは何か
企業が出社義務化に踏み切る理由は理解できる。新人教育の難しさ、チームワークの低下、イノベーションの停滞。これらは実際に起きている問題だ。
しかし出社義務化で失うものも大きい。
まず優秀な人材の流出だ。テレワークを前提に入社した社員は裏切られたと感じるかもしれない。Xでは「テレワーク可能って聞いて転職したのに詐欺だ」という怒りの声も散見される。
次に多様性の喪失である。地方在住者、障がい者、育児中の親。これらの人材が働きにくくなる。ダイバーシティーをうたいながら、実際は画一的な働き方を強制するのは矛盾があるだろう。
働く場所や時間帯を固定すれば、その範囲外で働ける人を排除することにつながる。NTTのように、テレワーク優先という姿勢を変えない企業もあるのだ。信念がない、柔軟性が欠けているといった会社への失望は、社員のやる気を奪う大きな要因になるだろう。
ある調査では、出社義務化後に離職率が30%上昇した企業もある。特に20代、30代の離職が目立つ。
部下との対話で見つける落としどころ
では、出社を拒む部下にはどう対応すべきか。
まず重要なのは、一律の対応を避けることだ。部下のタイプや状況に応じた個別対応が必要である。
例えば子育て中の部下には、週2回の出社から始める。徐々に慣らしていく。急な対応が必要な日には、在宅を認める柔軟性も大切だろう。
効率追求型の部下には、出社の目的を明確にする。「この会議だけは対面で」「新プロジェクトのキックオフは全員集合」など、理由を説明する。
リアルでしか得られない情緒的なメリットについても、粘り強く説明しよう。説明不足や、押し付けは良くない。単に「変化を嫌っているだけだ」と、受け止められる可能性が高いからだ。
人間関係に悩む部下とは、対話を繰り返そう。リモートにすれば解消される問題ではないからだ。あまりに傷が深いなら、別の部署への異動も検討する。また、出社日をずらして、苦手な人と会わない工夫も選択肢として用意しよう。
Xで話題になった投稿がある。
「上司から『出社は週1でいいから、その日は全員でランチしよう』って。これなら出社も楽しみ」
このような前向きな提案が、部下の心を動かす。
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