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部下「出社義務化なら転職します」 上司は引き止めるべきか、去ってもらうべきか「キレイごとナシ」のマネジメント論(2/4 ページ)

出社義務化で部下が次々辞める時代。管理職はどう向き合えばいいのか――答えは意外なところにある。

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SNSで噴出する「出社拒否」の本音

 コロナ禍が終わり、多くの企業が出社回帰を打ち出している。老舗の大企業のみならず、最先端のIT企業でさえ「週5日出社」を掲げるところもある。

 しかし、何か勘違いしていないだろうか? テレワークは「コロナ対策」ではなかったはずだ。

 そもそもテレワークは、政府が東京オリンピック・パラリンピックを契機に推進しようとした政策だった。コロナ前から何年も準備してきたのだ。多様な働き方を実現する最重要課題として位置付けられていた。

 ダイバーシティー経営を掲げるなら、テレワークは避けて通れない。女性の活躍推進、親の介護を抱える社員、地方在住者。こうしたマイノリティーの働き方を支える仕組みだったはずだ。

 それなのに「テレワーク=コロナ対策」というイメージが定着してしまった。だから経営者は「コロナが終わったから出社に戻そう」と安易に考える。マジョリティーの生産性だけを見て、マイノリティーの事情を無視するかのようだ。

 出社勤務を否定はしない。ただ十分な説明なしで「出社回帰」を宣言すれば、多様性の時代に逆行している、と思われても仕方がないだろう。

 当然「話が違う」と受け止める人は多い。Xを見ると、出社義務化への不満が爆発している。

 「出社義務化なら即転職。通勤2時間とか人生の無駄」

 「子供の急な発熱でも在宅なら対応できたのに」

 「満員電車で体力削ってまで出社する意味って?」

 このような投稿が毎日のように流れてくる。特に目立つのが子育て世代の悲鳴だ。

 「保育園のお迎え時間に間に合わない。出社義務化は女性活躍の逆行」

 「在宅なら子どもが体調悪くても休まなくて済むのに、なぜわざわざオフィスに?」

 企業側は「コミュニケーションの活性化」を理由に挙げる。しかし反論の声は少なくない。

 「雑談なんてSlackで十分」

 「会議室の予約争奪戦に時間を取られるほうが非効率」

 「上司の顔色うかがいながら仕事するストレスから解放されたのに」

 ある投稿では、こんな皮肉も見られた。

 「出社してやることがZoom会議って、ホント意味不明」

 確かに、オフィスでリモート会議に参加する矛盾は多くの企業で起きている現象だ。

出社拒否する部下を3つのタイプに分けると

 出社を拒む部下たちを分析すると、大きく3つのタイプに分けられる。

  1. ライフスタイル重視型
  2. 効率追求型
  3. 人間関係回避型

 まずライフスタイル重視型は、家族との時間を大切にする。子育てや介護に負担のある社員も多い。通勤時間をなくすことで、突発的な子どものトラブルにも対応できる。高齢の親が通所する施設からの問い合わせにも柔軟に対応できる。

 Xには「在宅のおかげで、子供の宿題を見てあげられるようになった」という声もある。

 このタイプは会社へのエンゲージメントが低いわけではない。ただ、仕事と生活のバランスを重視する。無理に出社を強制すると、本当に転職してしまう可能性が高い。

 次に効率追求型だ。彼らは通勤時間を「生産性ゼロの無駄」と考える。例えば往復2時間の通勤だと、年間で約500時間になる。この時間を使えばいろいろなスキルアップができると主張する。

 「通勤電車でスマホゲームするより、在宅で資格勉強したい」

 「満員電車で疲れて帰宅後は何もできない。在宅なら副業もできる」


時間を効率的に使いたいという意見もある

 最後に人間関係回避型である。職場の人間関係にストレスを感じている。上司の監視、同僚との軋轢(あつれき)、無意味な飲み会など。これらから解放されたいと願っている。

 「パワハラ上司と顔を合わせなくていいのが最高」

 「ランチの誘いを断る罪悪感から解放された」

 メンタルヘルスの観点から、このタイプには配慮が必要だ。無理な出社命令は、休職や退職につながる可能性がある。

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