トップ営業が“最悪の上司”になる日 チーム崩壊を招いた3つの過ち:「キレイごとナシ」のマネジメント論(3/5 ページ)
営業トップがマネジャー昇進後、3カ月でチームが崩壊――原因は、右脳派・左脳派の思考差を無視した“論理偏重マネジメント”だった。数字では測れない人間の特性を、どう生かすか。
チーム崩壊を招いた3つの原因
なぜこのマネジメントは失敗したのか。原因を分析すると3つの問題が浮かび上がった。
画一的な時間管理の強制
新任マネジャーは全員に同じタイムマネジメントを強いた。「企画は2時間以内」「商談は1時間厳守」「1カ月以内でクロージングしろ」といった具合だ。
右脳派にとって、これは創造性の死を意味した。アイデアは時間通りには生まれない。熟成期間も必要なのだ。あるデザイナーは退職時にこう語った。
「時計を見ながらクリエイティブな仕事はできません」
営業でも同様の問題が起きた。顧客との雑談を「無駄な時間」と切り捨てられるのはガマンならなかった。その雑談から大型案件が生まれることも多いからだ。
定量評価への過度な依存
評価基準をすべて数値化しようとしたのも問題があった。それ自体は野心的で悪くない。だが、相性の問題を無視していてはいけない。
「顧客の反応を5段階評価で」
「デザインの独創性を点数化して」
定量化できないものを無理やり数値にする。これが大きなひずみを生んだのだ。メンバーは評価のために仕事をするようになり、本来の目的を見失っていった。それがクレームを増やした理由だった。
メンバーとの相性を無視した指導
人には相性というものがある。これは避けられない事実だ。
左脳派マネジャーと右脳派部下の相性は特に難しい。お互いの思考パターンが違いすぎるのに、相手に合わせることをしなかったのだ。
「なぜ論理的に説明できないんだ」
「感覚を大切にしたいんです」
「感覚では伝わらないんだ」
「伝わりますよ」
この溝は日に日に深まっていった。メンバーの強みを生かすどころか、弱みばかりを指摘する結果になったのだ。
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