トップ営業が“最悪の上司”になる日 チーム崩壊を招いた3つの過ち:「キレイごとナシ」のマネジメント論(4/5 ページ)
営業トップがマネジャー昇進後、3カ月でチームが崩壊――原因は、右脳派・左脳派の思考差を無視した“論理偏重マネジメント”だった。数字では測れない人間の特性を、どう生かすか。
チームを立て直す3つの対策
では、どうすればよかったのか。成功している企業では以下の3つの対策を実施している。
柔軟な時間管理の導入
仕事の性質に応じて時間管理を変える。
クリエイティブ業務には「コアタイム」と「フリータイム」を設ける。集中して作業する時間と、自由に発想する時間を分けるのだ。営業活動も同様に、効率重視の時間と関係構築の時間を区別する。
ある広告代理店では、この方法で企画の質が30%向上した。時間に追われずに発想できる環境が、創造性を引き出したのだ。やはり「余裕」が、人のクリエイティビティに火をつけるのだ。
定性評価と定量評価のバランス
数値化できるものとできないものを明確に分ける。
売り上げや納期は定量評価する。しかし創造性や顧客との信頼関係は定性評価にする。両方を組み合わせて総合的に判断するのだ。
「数字は重要だ。しかし、数字が全てではない」
定性的な部分は、マネジャーが現場で観察して判断する。ある企業では、評価の比率を「定量6:定性4」にした。結果、メンバーの満足度が大幅に改善された。
相性を考慮した個別対応
メンバー一人ひとりに合わせたマネジメントをする。
右脳派には感覚的な説明を許容する。「なんとなく違和感がある」という意見も尊重する。左脳派にはデータと論理で対話する。相手の思考パターンに合わせるのだ。
1on1ミーティングの方法も変える。右脳派とは散歩しながら話す。左脳派とは資料を見ながら議論する。このように、相手が最も力を発揮できる環境を作るのがいい。
もちろん、すべてのマネジャーが臨機応変に対応できるわけではない。だから、その分、他のメンバーにフォローしてもらうのだ。
「私が言うと、どうしても理屈っぽくなってしまう。私の代わりにAさんと対話してくれませんか」
このように頼めばいい。そういうときに、ベテラン社員をうまく活用するのだ。
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