水没車はどんな末路をたどる? 自然災害の増加で自動車ビジネスはどう変わるのか:高根英幸 「クルマのミライ」(4/5 ページ)
水没車のほとんどは廃車となるが、その後もさまざまな形で活用される。特に海外では、日本で使われなくなった車両や部品も驚くほど有効利用されている。日本でも、リサイクルまで考慮した工夫やシステム構築をさらに進めるべきだろう。
海外での廃車利用は日本人の想像を超える
海外では、日本車は「品質、耐久性が高いだけでなく、部品を交換することで長く使える」と非常に評価が高い。乗用車もトラックも、日本では役割を終えたようなコンディションのクルマや需要のなくなったクルマでも、まだまだ活用されているのである。
水没車であっても、新興国では内装を分解・洗浄し、再び取り付けて仕上げる作業が日常的に行われている。日本では人件費が高く工賃がかさむだけでなく、電装系などのダメージや、サビやカビなどの発生リスクを考えれば、水没車の再生を請け負う業者は少ないのが実情だ。
しかし海外では、壊れた部品でさえも器用に溶接して、元通りの精度や強度とまではいかないものの、再び走れるように格安で修理してくれる業者がいくつも存在する。過酷な建設現場や土木作業で酷使されるトラックなどが、何度も延命されて使われ続けるのだ。
水没車は、彼らにとってはまだまだ使える上等なクルマであり、故障などのトラブルは起きてから考えればいい、という程度の問題でしかないのだ。故障して立ち往生したり、作業に遅れが出たりしても気にしないという国民性も背景にあるのだろう。
日本ほど車検制度が厳格ではなく、新車以外は排ガス規制なども緩い新興国では、車体とパワートレインが本来の組み合わせとは異なるような状態も珍しくない。そういう背景からか、現地で販売されている新車も日本仕様とは異なる。ボディサイズは小さくても乗車定員は多く、エンジンは小排気量で変速機はシンプルなMTという構成が基本だ。
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