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あなたの「正しい提案」が会議を通らないワケ 社内を支配する“根回し”の技術「キレイごとナシ」のマネジメント論(2/4 ページ)

根回しを軽視する人は、「正しい提案なら会議で通るはずだ」と考えている。しかし現実はそう甘くない。

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そもそも「根回し」とは何か?

 根回しとは、会議で議題を提案する前に、関係者に対して事前に説明し、了解や協力を得ておくことだ。

 もともとは造園用語らしい。樹木を移植する際、事前に根の周囲を掘って細い根を切り、移植に備えることを「根回し」と呼んだ。そこから転じて、ビジネスにおいては「物事を円滑に進めるための事前準備」という意味で使われるようになった。

 日本のビジネス文化において、根回しは極めて重要だ。会議の場で初めて提案すると、参加者は驚く。“心積もり”がないため、反射的に反対する人もいる。人間は予期しない提案に対して、防衛本能が働くものだ。私も根回しを怠り、後悔したことが何度もある。

 一方事前に根回しをしておけば、会議はスムーズに進む。参加者はすでに内容を理解しているので、建設的な議論ができる。会議の場で初めて聞いた人がいても、他の参加者が賛成していれば反対しにくい雰囲気が生まれる。

 これは理屈では説明できない。だから、若い人の中には「根回しなんて古い」と感じる人も多いだろう。

なぜ「根回し」を軽んじてはならないか?

 根回しを軽視する人は、「正しい提案なら会議で通るはずだ」と考えている。しかし現実はそう甘くない。

 いくら論理的に正しくても、関係者の感情を無視した提案は通らないものだ。「自分だけ蚊帳の外だった」と感じた人は、提案内容の良し悪しに関わらず反対する。

 例えば新しいシステムを導入する提案があったとしよう。システム部門に事前相談せず、いきなり経営会議で提案したらどうなるか。システム部門長は「なぜ事前に相談がなかったのか」と不快に思う。提案内容が優れていても、感情的な理由で反対されるのだ。

 また、根回しをしないと想定外の質問に対応できない。

 「先日、展示会で画期的なシステムが紹介されたけれど、そのシステムも比較したのか?」

 「もっとリーズナブルなシステムも知っているけれど、なぜ検討しなかったんだ?」

 会議の場で初めて聞く質問に、即座に答えられる人は少ない。結果として「準備不足だ」と判断され、提案が却下される。

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