「30万円以上の初任給? そんなのムリ!」嘆く中小企業の人事部長 どこまで続く“賃上げ格差”:「キレイごとナシ」のマネジメント論(4/5 ページ)
広がりゆく大手と中小の「賃上げ格差」。採用に悩む中小企業はどうすればよいのか。データをもとに解説する。
Z世代が就職先選びで最も重視するのは「給与・待遇」
なぜ、これほどまでに賃上げが採用に影響するのか。若い世代の意識を見れば、その理由は明らかだ。
大学生向けアプリを提供するペンマークが2025年に実施した調査がある。対象はZ世代(1996〜2005年生まれ)の学生407人と社会人178人、計583人だ。
就職先を選ぶ際に最も重視する項目は何か。結果は圧倒的だった。
「給与・待遇がいい」が78.0%でトップ。2位の「仕事内容が魅力的・やりがいがある」は47.0%。その差は30ポイント以上である。
コロナ禍以前の調査では「やりがい」を重視する若者が過半数を占めていた。しかしコロナ禍を経て、価値観は逆転したことになる。「お金」が「やりがい」を上回るようになったのだ。物価高の影響や、将来への不安もあることだろう。
いずれにせよ、Z世代にとって「給与・待遇」は就職先を決める最大の要素である。この現実を直視しなければならない。
Z世代は「お金」で会社を選び、合わなければ躊躇(ちゅうちょ)なく辞める
他にも興味深いデータがある。Z世代の出世に対する意識だ。
同調査において「特に出世は望まない」「現場で専門性を高めたい」と答えた人は32.1%に上った。昇進よりも、自分のスキルを磨くことを重視する傾向がうかがえる。
副業・兼業への関心も高い。「条件や機会があればしてみたい」「積極的にしたい・興味がある」と答えた割合は、学生で72.9%、社会人で79.0%に達した。
退職・転職への抵抗感も低い。社会人の20.5%が「頻繁に退職・転職を考える」と回答しており、「時々ある」を含めると6割以上が転職を視野に入れていた。
退職代行サービスへの意識も象徴的だ。「特別な事情がある場合に役立つ」が51.7%、「非常に有効なサービス」が12.5%。「好ましくない」はわずか4.7%だった。
これらの結果から、Z世代は一つの会社に依存しない働き方を志向しており、退職のハードルはかつてないほど下がっていることが分かる。Z世代は「給与・待遇」で会社を選び、合わなければ躊躇なく辞める。この傾向は今後も強まっていくだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
部下に「仕事は終わってないですが定時なので帰ります」と言われたら、どう答える?
企業にとって残業しない・させない文化の定着は不可欠だ。しかし――。
部下「出社義務化なら転職します」 上司は引き止めるべきか、去ってもらうべきか
出社義務化で部下が次々辞める時代。管理職はどう向き合えばいいのか――答えは意外なところにある。
新人「議事録はAIにやらせました」何がダメなのか? 効率化の思わぬ落とし穴
新人がAIを駆使すれば効率化できる――はずだった。ところが現実は顧客の信頼を失う危険すらある。便利なはずのAIが、なぜ組織のリスクに転じてしまうのか。
「残業キャンセル界隈」名乗る若者が増加中…… 上司はどう向き合うべき?
SNS発の「○○キャンセル界隈」が職場にも広がり、「残業キャンセル界隈」を名乗る若手が増えている。背景には働き方改革の誤解や成果への無関心がある。組織の生産性低下を防ぐには?
部下から「給料を上げてください」と言われたら、上司のあなたはどう返す?
もしこんな相談を受けたら、決して避けてはいけない。上司がどう向き合うべきか解説する。
