スズキ「クロスビー」はなぜ売れているのか ビッグマイナーで販売倍増の理由:高根英幸 「クルマのミライ」(3/5 ページ)
2025年10月に大掛かりなマイナーチェンジが行われたスズキのコンパクトSUV、クロスビーが人気だ。ユニークなアプローチで刷新し、競争が激しい市場で存在感を高めた。新型クロスビーの強みは何なのか、スズキの担当者に聞いた。
「ライトミニバン」カテゴリーは“戦場”
そもそもライトミニバン(ハイトワゴン)というカテゴリーは、コンパクトカーのプラットフォームを利用しながら、室内高を拡大して使い勝手を高めたクルマとして生まれた。
日産のキューブを皮切りに、同じ日産のティーノやトヨタのファンカーゴ/カローラスパシオ/ラウム、マツダのデミオ、ホンダのキャパ/モビリオ、三菱のディンゴといったモデルが1990年代終わりに登場した。
この頃はほとんどのモデルで、後席はスライドドアではなく通常のヒンジドアを採用していた。その後、室内空間の使い勝手向上や乗降性を優先してスライドドアを採用する車種へと移行していく。
そうした第2世代にあたるのが、ホンダのフリードやトヨタのシエンタ、日産キューブ(2代目)、三菱RVRといったモデルだ。3列シートを持つモデルを用意したり、独自の機能やデザインを競ったりしてユーザーを獲得していく。スズキはソリオをデビューさせ、よりコンパクトで使い勝手のいいハイトワゴンとして認知を高めていった。
このライトミニバン市場は、コスパ重視のユーザーによって吟味された結果、日産や三菱、スバル、マツダなどは撤退。トヨタ、ダイハツ、スズキの各モデルが他メーカーにOEM(相手先ブランドによる生産)供給される状況となっている。
その一方で、SUVブームも起こり、トヨタのハリアーやRAV4、日産のエクストレイルやデュアリス、ムラーノ、ホンダのCR-V/HR-V、スバルのフォレスター、三菱のエアトレックなど、各メーカーからさまざまなモデルが登場した。
スズキにはジムニーという人気SUVもあるが、そもそも軽規格とはいえこのクルマは本格的なクロスカントリー4WD(四輪駆動)であり、レジャー用途における実用性という面では、カバーしきれない領域もあった。そこでハイトワゴンの実用性とジムニーの走破性を融合させたオフロードテイストのクロスオーバーモデル、ハスラーを発売したところ、大ヒットモデルになったのだ。
そして、その発展形として小型車のクロスビーが開発されたのは、冒頭で書いた通りである。
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