「自分でやった方が早いから……」 部下の“不機嫌”を怖がる上司がチームの成長を止めるワケ:「キレイごとナシ」のマネジメント論(3/5 ページ)
本来は部下に任せるべき仕事を抱え込んでしまう。いわゆる「物分かりの良い上司」だ。しかし、この優しさに見える行動が、実はチームの成長を止めている。
「任せる」と「丸投げ」の違い
では、どうすれば部下に正しく仕事を任せられるのか。
まず押さえておくべきは、「任せる」と「丸投げ」は全く違うということだ。丸投げとは、ゴールも基準も曖昧なまま「よろしく」と放り投げることである。これでは部下も困る。任せるとは、明確なゴールと基準を示したうえで、やり方を委ねることだ。
具体的には、以下の3つを意識してほしい。
ゴールと基準を明確に伝える
「何を、いつまでに、どのレベルで」を具体的に示す。「いい感じにまとめておいて」は丸投げだ。「来週水曜までに、A4で2枚以内、数字の根拠を3つ以上入れて」。ここまで言って初めて「任せた」ことになる。ゴールにたどり着くまでの「地図」を渡すような気持ちで向き合おう。
途中でチェックポイントを設ける
締め切り当日に初めて成果物を見るのではなく、途中段階で確認する機会(マイルストーンと呼ぶ)をつくる。方向がズレていれば早期に軌道修正できる。このほうが部下にとっても安心感があるだろう。
基準に達しなければ、やり直しを求める覚悟を持つ
これが最も重要だ。基準に達していない成果物を「まあ、いいか」で受け入れてしまったら、それが部下の「基準」になる。だから最初から「どのレベルに達する必要があるか」を明確に伝えておくことが大事だ。やり直しを求めることは、部下の成長のために不可欠なフィードバックなのだ。
つまり、3つ目ができない上司が、結局「自分でやったほうが早い」と逃げることになる。
部下は「任されること」で成長する
人は負荷がかかったときに成長する。これは筋トレと同じだ。自分の実力よりも少し重いダンベルを持ち上げて初めて、筋力がつく。楽な重さを持ち続けても、筋肉は大きくならない。
上司が仕事を全部やってしまうのは、部下からダンベルを取り上げているのと同じだ。子どもの宿題を親が代わりにやってしまったら、それは「親切」だろうか? 部下の成長の機会を奪うだけでなく、キャリア開発さえも奪っていると言えよう。
もちろん、いきなり重すぎる負荷をかければケガをする。だからこそ「任せ方」が重要なのだ。最初は軽い仕事から任せよう。そしてチェックポイント(マイルストーン)を細かく設けて、都度コミュニケーションをとるのだ。そうして徐々に難易度を上げていく。この段階的なプロセスを設計するのが、マネジャーの仕事である。
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