「ワンチャン」「ガチで」……職場で使っていい? 上司の「歩み寄り」があぶないワケ:「キレイごとナシ」のマネジメント論(3/4 ページ)
職場における若者言葉の実態とベテラン社員がどこまで使っていいのかについて、私の実体験も含めて解説する。
ベテラン社員が若者言葉を使うと何が起きるか
これらの言葉を、ベテラン社員が職場で使うとどうなるか。いくつか具体的なシーンを見てみよう。
「今日の商談、事故った……」
40代の営業マネジャーがこうつぶやいたとする。「事故る」は若手の間では広く使われている言葉だ。状況は伝わるかもしれない。しかし若手社員の多くは内心こう感じる。「使い方はあってるけど……なんか違和感あるな」と。
「この提案書の出来栄え、もう優勝だな」
上司から褒められた若手は、どう感じるだろう。うれしい半面「ちょっと無理して使ってる感じがする」と思うのが正直なところだろう。意図が善意であっても、どこか「おじさんが若者にこびている」という印象を与えてしまう。
「それ神だな。ガチで助かった」
これも同様だ。50代の上司から「神」「ガチで」と言われると、若手は笑顔の裏でこう思う。「頑張って合わせてくれてるのは分かるんだけど……」と。
つまり、ベテラン社員が若者言葉を使うと、往々にして逆効果になるのだ。「距離を縮めよう」という善意が、かえって「若者に媚びている人」「ちょっと痛い上司」という評価につながってしまう。
商談の場ではNGである
社内はともかく、お客さまとの商談ではどうか。結論から言おう。商談の場での若者言葉は、原則として使うべきではない。
「それ、ワンチャンいけますか?」
お客さまにこう聞いてしまったとしよう。相手はどう受け取るだろうか。「この担当者、大丈夫かな」と思われても仕方がない。「ワンチャン」というスラングは、どう取り繕っても、軽さを内包している。お客さまの課題や投資に対してこんな言葉で答えていいはずがない。
「比較表、秒で作ります」
これも軽い。「秒」は誇張表現だ。「すぐに」「即日で」という言葉に置き換えたほうがいい。あえてスラングで言う必要はない。「この人、なんか軽いな」と感じるお客さまは一定数いるだろう。
「この課題、完全に詰んでますよね」
お客さまの状況を表現しようとして、こう言ってしまう営業担当者がいたとしよう。意味は伝わるかもしれないが、お客さまが「詰んでいる」と感じていたとしても、それを軽いスラングで表現されることへの抵抗感は大きい。
ビジネスの場は、言葉が信頼を構築する場である。特に初対面や年齢層が上の相手には、言葉の選び方ひとつで印象が大きく変わる。砕けた言葉遣いが場の空気をやわらげることもあるが、「場をわきまえている」という信頼感のほうが、長期的な関係構築には圧倒的に重要だ。
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