積水ハウス「幸せ度調査」で分かった、長時間労働より部下を追い詰める「理不尽」の正体:「褒めて伸ばす」は思い込み?(1/5 ページ)
積水ハウスグループは020年から毎年、従業員の「幸せ度調査」を続けている。同社のデータからは、労働時間の長さは「オーバーワーク」と感じるかどうかに、それほど関係がないという結果が出た。
部下をメンタル不全に陥らせてはいけない、長時間労働をさせてはいけないというプレッシャーから「厳しいことは言わないようにしよう」「なるべく褒めよう」と日々苦心している管理職も多いだろう。
しかし、褒めてやる気にさせるよりも、部下が自らやる意味があると感じられるような仕事の渡し方をしているかどうかの方が、よほど大切なのかもしれない──そんな結果が、積水ハウスグループが2020年から毎年実施する、従業員の「幸せ度調査」で見えてきた。
会社や上司が社員を「幸せにしてあげる」のではなく、あくまで「一人一人が自分の力で幸せになる」ことを目指してサポートに徹する積水ハウス。その狙いや効果を聞くと、社員の「幸せリテラシー」を向上させることが、個々の社員、管理職、組織の“三方良し”を実現させる鍵であることが見えてきた。
2種類の調査で「幸せ」を多面的に分析
積水ハウスの「幸せ度調査」は、幸福学の第一人者である前野隆司教授(慶應義塾大学大学院)の監修による2種類の調査を同時に行う点に特徴がある。
そのうちの一つは、個人の幸せを多面的に計測する「幸福度診断 Well-Being Circle」だ。全72の質問に答えると、幸福度と相関のある11カテゴリー34項目のスコアが示される。
もう一つは「はたらく人の幸せ/不幸せ診断」で、仕事の場面において幸せと不幸せをもたらす、それぞれ7つの要因についてアンケートの回答を基にスコアを示すものだ。
2つの調査で計測する項目を見ると、「幸せ」に影響する要素が非常に多岐にわたることが分かる。前回の記事『“働きやすさ=ウェルビーイング”という勘違い 福利厚生の充実は「入り口」に過ぎないワケ』では、社員のウェルビーイング向上をうたう企業の取り組み内容が、健康やワークライフバランスのための施策に偏りがちであることを指摘したが、それだけでは社員のウェルビーイングは実現しないのだ。
積水ハウスでは年に一度、この2つに独自の項目を加えたアンケート調査をグループ全体で実施する。社員は、自分自身のスコアの他に、所属する職場や会社全体の平均スコアを見られる。年に一度の全体調査の時期に限らず、いつでも診断を受け、自分の現状や診断に基づくアドバイスを確認したり、付属のAIと対話したりも可能だ。
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