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「日本の聖域」軽自動車に赤船来襲  BYDが199万円「新型EV軽」で仕掛ける一発逆転(3/4 ページ)

中国のEV大手BYDが海外メーカー初の軽EV「RACCO」を発売した。国の補助金適用で実質199万円という価格設定に加え、航続距離320キロやSDV機能など高級車並みの装備を投入。国産優遇の補助金ハンデを抱えながらも、狙うは既存の「ガソリン軽自動車」からの乗り換えだ。年間1万台の販売目標に向け、地方のディーラー網拡大で日本の「国民の足」市場へ挑む、過熱する軽EV生存競争の最前線を追う。

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「日産サクラは敵ではない」 ガソリン軽ユーザーを直接狙い撃つ理由

 現在、国内の軽EV市場では日産自動車と三菱自動車の「サクラ」「eKクロス EV」が先行している。しかし、BYDが狙っているのは、既存のEVユーザーの奪い合いではない。劉社長は同社が描く真のターゲットについてこう明かす。

 「私たちが目指しているのは、日産さんのサクラからお客さまを奪うことではありません。今、日本の道路を走っている『ガソリン車の軽自動車』から、RACCOに乗り換えていただくことです。サクラも売れ、RACCOも売れる。そうやってガソリン車からEVへのシフトが進むことこそが、日本のEV社会全体を盛り上げることにつながります」

 日本の乗用車市場におけるEV比率は、2026年に入り3〜5%台へ上昇傾向にあるものの、まだ拡大の途上だ。BYD、購入価格というハードルを下げることで、これまでEVを選択肢に入れていなかった膨大なガソリン軽ユーザーを直接取り込む戦略を描く。

「年間1万台」の壁をどう越える? 勝敗を分ける地方サテライト網

 日本の軽自動車メーカーも、この外資の参入を黙って見ているわけではない。本田技研工業(ホンダ)は2025年9月に航続距離295キロの軽EVを発売し、2028年には人気車種「N-BOX」タイプの軽EV投入を予定だ。スズキも2026年度中の軽EV量産化を目指し、ダイハツ工業も軽商用EVを市場に投入するなど、総力戦の様相を呈している。

 軽自動車は大都市圏よりも過疎地や地方都市で「生活の足」として深く根付いてきた。それだけに、国産メーカーとしても自国のインフラを支えてきた市場でシェアを奪われるわけにはいかないプライドがある。

 BYDが掲げる「年間1万台」という販売目標について、劉社長はこう語る。

  「日本の年間130万台という軽自動車市場、あるいはBYDのグローバルでの販売規模から見れば、1万台は決して大きな数字ではありません。しかし、海外メーカーの軽EVが日本全国を走り回るようになれば、新たな社会作りへの大きな第一歩になります」

 だが、この1万台という壁を越えるためには、車自体の性能だけでなく「地方での販売・アフターサービス網」の構築が生命線となる。現在BYDは全国の県庁所在地を中心に77カ所のディーラー網を展開しているが、軽自動車の主要マーケットである地方都市をカバーするため、より小規模なサテライト店舗の拡大を急ピッチで進めている。

 最近でも、人口10万〜30万人規模の福岡県久留米市や滋賀県彦根市といった地方中核都市に相次いでサテライト店を出店させた。車検や日々のメンテナンスにおいて地元の販売店に依存する軽自動車ユーザーに対し、どれだけ地域に根差した安心感を提供できるかが問われそうだ。


左からBYD JAPANの劉学亮、広瀬アリスさん、BYD Auto Japanの東福寺厚樹社長

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