2015年7月27日以前の記事
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なぜANAは批判を受けても「300万円」を譲らなかったのか SFC改定が突きつける“真の優良顧客”の条件(4/5 ページ)

4月の発表で波紋を呼んだANAの「SFC改定」。9月にラウンジの一律制限緩和を発表したものの、決済額「300万円の壁」は維持した。妥協に見えるこの見直しは、実は「飛ぶ客」から「日常で使う家族」へと優良顧客を再定義し、LTV(顧客生涯価値)の最大化を狙う高度なマーケティング戦略だ。早稲田大学ビジネススクールの長内厚教授が、批判を受けてもANAが死守したラグジュアリー戦略の真の狙いを読み解く。

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「飛ぶ客」より「使う家族」を優遇? “真のロイヤル顧客”の姿

 だからといって、飛ぶ意味がなくなったわけではない。搭乗によって得られるプレミアムポイントを年間15万ポイント以上獲得した会員に付与する、既存の「ダイヤモンドサービス+More」は、同じANAカードファミリーマイルに登録した家族1人に、翌年度のダイヤモンド資格を贈れる制度だ。一部対象外の特典はあるものの、家族にも一段上の待遇を提供する。

 重要なのは、+Moreが搭乗だけの制度ではないことだ。公表済みの2027年度の条件は、ANAグループ運航便で15万プレミアムポイント、所定のライフソリューションサービス7種類以上の利用、ANAカード・ANA Payで600万円の決済。その全てを満たす必要がある。

 決済によって家族への優待を広げ、さらに搭乗と日常利用の双方で大きく貢献する顧客には、より上位の家族向け特典を提供する。「飛ぶか、使うか」の二者択一ではなく、最上位では「飛ぶことも、使うことも」評価するのだ。

 家族への恩恵を比べると決済が有利になる局面をつくりながら、航空利用でも大きく貢献する顧客には、その先の優遇を用意する。ここには、優良顧客との関係を段階的に深める、一貫した考え方がある。

 しかも、今回維持される100万ANAライフタイムマイルの特例は、長年にわたる搭乗実績も評価し続ける仕組みだ。年間の搭乗、日常の決済、長期の利用実績。それぞれを異なる形で評価すると捉えれば、カード決済を重視する改定と、飛び続けた顧客への優遇は矛盾しない。

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新サービスに向けたスケジュール(ANAのWebサイトより)

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