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「人工雷」で肥料を生み、キュウリでAIを育てる 福岡の100年商社「welzo」が挑む農業DX(2/4 ページ)

熟練農家の高齢化と肥料の輸入依存という日本の食料安保問題に、創業100年の農芸商社welzoが挑む。同社は九州大学と連携し、水と空気から「人工雷」で肥料を自給する技術を開発。生長の早いキュウリ栽培を通じ、熟練農家の「勘と経験」をAIでコード化した。新規就農者が1年目から手堅く稼げる低価格な自動制御システムを確立し、日本の農業構造を底上げしながら世界市場への進出を狙う。

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AIで熟練農家の「暗黙知」をコード化 「キュウリ」を研究対象に選んだワケ

 熟練農家の頭の中にしかない「勘や経験」を、いかにしてAIやデータに置き換えるのか。その実験場となっているのが、同社が福岡市西区今津に開設した「welzo研究農場」だ。現場で開発を率いるのは、元・環境分析スペシャリストの古川光係長と、元・精密機器エンジニアで研究開発室の内田忍課長代理の2人だ。

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左から元・環境分析スペシャリストのwelzo古川光係長と、元・精密機器エンジニアで研究開発室の内田忍課長代理

 研究対象として選んだのは「キュウリ」。キュウリは11月から6月にかけて毎日50〜100キロ、10日で1トン近くも収穫できるほど代謝と生育のスピードが早い。「だからこそ、AIやシステムの改善サイクル(PDCA)を早いスピードで回せるんです」と古川係長は説明する。植物の反応が素早く現れるため、センサーやカメラで取得したデータを基に、システムを高速でブラッシュアップできるのが強みだ。

 農場では、地面に野菜を植えるのではなく、地面から離して栽培台を設置する高設ベッド(隔離床栽培)を導入。光量や温度、二酸化炭素(CO2)濃度、水やりまでを制御盤で自動化した。

 画像認識技術も活用し、植物の状態をリアルタイムで捉える仕組みを構築している。内田課長代理は「地植え(土耕)は地球と一体なので、気象などの外乱を受けやすいですが、高設ベッドなら環境を完全にコントロールできます。どこへ持って行っても『匠の味と収量』を再現できる仕組みです」と胸を張る。

 さらに同社は、植物生理生態研究の権威である高知大学IoP共創センターの北野雅治特任教授とも共同研究に取り組む。光合成によって作られたデンプンなどの養分が、植物体内でどう配分されるかを定量的に可視化。昭和の時代から経験則として語られてきた「感覚的な栽培法」を科学的に検証しようとしている。最適な環境条件を割り出し、単位面積当たりの収穫量(単収)と高品質な「A品」の割合を、同時に引き上げる狙いだ。

 だが、いくら高度なシステムを作っても、導入コストが数千万円もかかっては現場の農家には普及しない。そこで同社が徹底しているのが「市販パーツで組める低価格と再現性」だ。

 内田課長代理は「新規就農者は水はけの悪い不利な土地しか借りられないことも多いですが、このシステムなら土地を選びません。数千万円の高級システムではなく、市販パーツで組める再現性にこだわっています」と説明する。大雨による浸水に悩む農家からも問い合わせが相次いでいるという。

 汎用(はんよう)的な機材を組み合わせ、安価でどこでも再現できる環境制御システムを届けることで離農を防ぎ、1年目から手堅く稼げる農業インフラの確立を目指している。

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研究対象として選んだのは「キュウリ」。キュウリは11月から6月にかけて毎日50〜100キロ、10日で1トン近くも収穫できるほど代謝と生育のスピードが早い

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