2015年7月27日以前の記事
検索
インタビュー

なぜ上場を捨ててまでAIに賭けたのか? カオナビが非公開化して進める「脱・勘と経験の人事」(5/6 ページ)

人事データを可視化しても「勘と経験と社内政治」で決まる日本の人事。タレントマネジメント大手カオナビはこの課題に終止符を打つべく、株式非公開化という重い決断を下した。四半期決算の呪縛を断ち、5年間をAIと人事データの融合にあてる。同社が掲げる「タレントインテリジェンス」構想の全貌とは。2030年の再上場を見据えた佐藤寛之CEOの背水の変革戦略に迫る。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

個人の意思決定を解き放つ「カオパス」構想

 タレントインテリジェンスの先に、佐藤氏が描くのは「HR領域の意思決定の民主化」だ。企業に所属していると、自分のキャリアについて見える範囲にはどうしても限りがある。身近な上司や先輩のキャリアを参考にすることはできても、自分と似た経験や能力を持つ人が、ほかの企業でどんな仕事をしているのかまでは分かりにくい。

 AIが企業内の人材データと個人の情報を組み合わせれば、キャリアについてより多くの選択肢を示せる。

 「個人は自分で考えないといけませんが、これまではそのためのツールがありませんでした。企業側はそれを提供しないと、その人に残ってもらえません」(佐藤氏)

 AIが「転職したほうがいい」と提案することもあり得る。それでも、別の会社の話を聞いた結果「やはり今の会社で頑張ろう」と考えることもある。企業に残ることだけを目的にするのではなく、本人が納得して働くための選択肢を増やすという発想だ。

 その先に見据えるのが、個人のポータブルなキャリア基盤「カオパス」構想だ。社員のデータを、会社が一方的に囲い込む時代は終わった。個人が自らの適性や実績ログを自律的に管理し、社内の異動だけでなく、社外の機会とも直接接続できるようにする。

 「人材流出を恐れて情報を隠す会社」ではなく「個人のキャリア選択を支援する会社」にこそ優秀な人材が集まる。カオナビは、主権を企業から個人へ返還することで、雇用関係そのものを再定義しようとしている。

 企業側が持つ人材データや、個人の適性検査、評価などを組み合わせれば、より本人に合った出会いにつながる可能性がある。

photo
インフィニットモデル (カオナビ「公式note」より)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る