「保安検査の長い列」と「人手不足」をどう解消する? フランクフルト空港におけるAI時代の空港DX(3/4 ページ)
4月に開業したフランクフルト空港の第3ターミナル。IT技術やAIを導入し、顧客体験の向上や業務効率化を行っている。どのような技術を導入し、「止まらない空港」を実現しようとしているのか?
NTTなどの日本企業が果たす役割
この第3ターミナルには、日本のNTTがITサービスプロバイダーの立場で関わっている。フラポートによると、同ターミナルの駐機場など制限区域において、NTTが管理するプライベート5Gネットワークが利用されているという。
NTTグループは、米国のプライベート5G企業Celonaと提携するほか、無線LANサプライヤーとも連携。フランクフルト空港ではこうした企業との協業を通じて5Gネットワークの整備を進めており、空港内の幅広いエリアで5Gが活用されている。
「第3ターミナルの運営において、ITシステムは非常に重要な役割を担っています。NTTと共同で構築したネットワークは、空港内のさまざまな機器やシステムをつなぐ通信基盤となっており、将来的にはこのネットワークを活用し、駐機場に自動運転車も導入する予定です」
オスワルド氏によると、スタッフの輸送、荷物の輸送、メンテナンス車、草刈り車、除雪車などで自動運転が導入される予定で、すでに試験運転もしているという。これらの車は通信によってシステムと接続され、情報をリアルタイムで取得しつつ、作業の安全性や効率を高めている。
フラポートとNTTが推進する、この欧州最大規模の空港プライベート5Gネットワーク構築とスマート空港化。航空機の下や滑走路といった、従来のWi-Fiや有線LANだと電波が届きにくい広大な敷地全体を、高速・低遅延・高セキュリティなプライベート5Gでつないだことは、空港運営のデジタル化を進める大きな一歩と言えそうだ。
また、フラポートがドイツのネットワーク庁から取得したローカル5Gの免許を活用し、空港運営に関わるデータの管理権限を自社で保持できる仕組みも整えている。
旅客とスタッフにもたらされたメリット
旅客にとって、空港到着から搭乗までの所要時間短縮、ストレスの緩和、パーソナライズされた搭乗案内は、快適な空港利用には欠かせない。
「乗客が搭乗ゲートまでスムーズに移動できるようにシステムを構築しています。乗客は待ち時間ができることを決して望んでいませんし、空港側としてもストレスを与えたくありません」
確実に乗り継げる仕組みづくりも重要だ。新たに導入したシステムはAIも活用し、乗り継ぎ時間が特に短い乗客を把握しつつ、目的地までの最適な経路を算出する。搭乗ゲートでは、ルフトハンザドイツ航空と共同開発したAIを活用して、乗り継ぎ対象者を把握。全員が搭乗可能かどうか判断するシステムの試験運用を進めているという。乗り継ぎが間に合わない場合、必要に応じて再予約をすることも想定している。
便利に、快適に過ごせるようになったのは、旅客だけではない。現場スタッフをサポートするための業務システムも導入している。例えば、これまで手作業で行っていた業務の自動化をはじめ、ロボットの導入による身体的負担の軽減、データに基づいた人員配置の最適化に取り組んでいる。
「スタッフが仕事を上手に、簡単に、高品質で実行できるよう支援することは本当に重要です。そのため、空港の全部門、全ての領域でITシステムを導入し、常にサポートしています」
フランクフルト空港には、従業員専用のアプリがある。例えば、ANA(全日本空輸)の東京(羽田)行きの便だと、使用する搭乗ゲートの場所をはじめ、飛行機の到着、カウンターのオープンとクローズ、保安検査の通過、ゲートでの搭乗開始など、あらゆる時間が分刻みで表示され、必要な運用作業を把握できる。これはフランクフルト空港で働くスタッフであれば、誰でも閲覧可能だ。
入国審査や保安検査の混雑緩和にもITを活用する。天井に設置したセンサーによって列の長さを測定し、アプリ上で待ち時間を確認できるようにしている。
「保安検査の待ち時間はセンサーの情報に基づいて表示しています。例えば、待ち時間が10分を超えると黄色で表示し、混雑が深刻化すると赤色になります。そのため、スタッフが新たなレーンを開くなどの対応がしやすくなります。また、荷物が見つからないなどのトラブルがあれば、どの空港スタッフもすぐ調べられるようになっています」
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