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建設現場の「古い図面」問題 紙とデジタルのズレが招く「手戻り」と「工事遅延」、日本HPはどう解消した?(1/3 ページ)

急速なデジタル化が進む建築・建設業界。一方で、現場が参照しているのは、依然として紙やPDFの図面が中心。デジタルと紙、オフィスと現場で異なる媒体で情報が参照されていると、最新の図面の共有が遅れ、手戻りや施工ミス、工事の遅延などにつながりかねない。この課題を日本HPの新サービスはどう解消するのか。

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 急速なデジタル化が進む建築・建設業界。オフィスでは図面情報のクラウド共有が進むと同時に、図面の更新や設計変更の頻度も上がっている。

 一方で、現場が参照しているのは、依然として紙やPDFの図面が中心だ。デジタルと紙、オフィスと現場で異なる媒体で情報が参照されていると、最新の図面の共有が遅れ、手戻りや施工ミス、工事の遅延などにつながりかねない。

 IT機器大手の日本HP(東京都港区)は9月、建築・エンジニアリング・建設業界向けにクラウドベースのプロジェクト管理コラボレーションプラットフォーム「HP Build Workspace」の日本語版の提供を開始した。

 このサービスは、設計から施工までの図面ワークフローを一気通貫でつなぐものだ。デジタルで管理している図面と、現場で使用している紙の図面を連携。現場でも最新版を誰でも確認できる仕組みによって、紙とデジタルの情報同期を支援する機能を盛り込んでいる。

 建築・建設業界が抱える課題にどう応えようとしているのか。


「HP Build Workspace」は新たに発売した複合機「HP DesignJet 」と連携して利用できる(以下クレジットのない写真は筆者撮影)

オフィスは最新、現場は古い図面 ズレをどう防ぐ?

 「HP Build Workspaceはデータを単に印刷するだけでなく、どうしたら必要なデータが必要な人に正しく届けられるのかといった観点に着目したソリューションです」

 同社が都内で開いた記者説明会で、大型プリンター事業本部長の沼田綾子氏が説明した。

 「これまでは大型プリンターというハードウェアで、図面の印刷とスキャンを支えてきました。ただ、印刷の前後にお客さまの課題があることが分かりました。今までの印刷やスキャンだけでなく、図面が現場で生き続ける仕組みそのものを提案するのが本サービスです」

 HP Build Workspaceは、建築・エンジニアリング・建設業界で使用されている図面について、最新版の管理から改訂などの朱書きの共有、それに出力までを1つのPC画面に集約し、設計と現場を同じ情報でつなぐクラウドベースのプラットフォームだ。

 主に4つの機能がある。1点目は常に全員が最新版で作業ができるバージョン管理。図面の履歴が記録され、変更箇所が確認できる。

 2点目は紙図面にQRコードを印刷することで、デジタル図面と紙図面をつなぐ機能。特別なアプリを使うことなく、スマートフォンでQRコードを読み込むことで、現在の図面が最新版かどうかが分かる。

 3点目は現場の写真やコメントを、図面上に関連付ける機能。現場からの情報をオフィスにリアルタイムで共有できる。そして4点目が、新機能「HP AIベクタライゼーション」による図面業務の省力化だ。

 HP AIベクタライゼーションにより、2次元の平面図や立面図を描くCAD(Computer Aided Design)などのデジタルデータが存在しなくても、紙やPDFの図面からAIの支援によってCAD図面へ変換できる。あわせて、大型の紙図面をスキャンできてHP Build Workspaceと連携可能な「HP DesignJet 」の複合機も発売した。

 注目すべきは、紙とデジタルの同期やAIによるCAD変換といった中核機能を、あえて「無償」で開放した点だ。ソフト単体で細かくお金を取るのではなく、プリンターとクラウドをセットで現場のスタンダードとして定着させる狙いが見える。


日本HP 大型プリンター事業本部長の沼田綾子氏(同社提供)

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