コラム
» 2007年08月23日 05時00分 公開

「EXA IIa」の分解と修理-コデラ的-Slow-Life-

軽快ボディが魅力の「EXA IIa」を、さっそく分解してみることに。懸案のシャッター部には、経年変化によって固着した機械油を洗い流す“魔法のオイル”を施してみた。

[小寺信良,ITmedia]

photo EXAはユニークな構造を持つカメラだ

 ではさっそくEXAを分解してみる。ボディ前後にある小さなネジを外し、巻き取り軸を外しただけで、簡単に分離することができた。EXAKTAに比べれば、ずいぶんシンプルな構造である。普通のカメラは軍艦部がただのフタになっているが、EXAあるいはEXAKTAの場合はむしろ軍艦部のほうが本体であり、それをフィルム格納部に差し込むような作りとなっている。


photo 頑丈な歯車が、旧共産圏を連想させる

 中身を観察すると、大きな歯車がまるで足踏みミシンのようである。これはフィルム巻き上げレバーの横の回転を縦の回転に変換し、シャッターをチャージするための機構である。ちなみにミシンとは機械装置の意であるMachineが訛ったもので、元々は「Sowing Machine」とでも読んでいたのだろう。当時の人は、まさか世の中がこれほどまでに機械装置だらけになるとは思っていなかったのかもしれない。

 シャッター幕は布製で、EXAKTAが横走りだったのに対し、EXAは縦に走る。このため横幅が短く、コロンとした印象のカメラとなっており、マニアの間ではさらに評判を落とすことになった。筆者は元々コンパクト化の技術に大変興味があるので、それほどEXAに悪い印象は持っていない。

 さて、問題のシャッターだが、粘っていながらも一応動くということは、機械的には壊れていないと思って間違いない。なぜ粘るかというと、機械油が経年変化によって固着してしまうからである。

 昔の人は大抵そうだったが、機械が調子が悪くなったら油を差すもの、と思っていたフシがある。動力の大きな機械はそれでいいのだが、カメラのような力の弱い機械は、注油で一時的には動くものの、逆に油の差しすぎで固着してしまう。特にシャッターの動かなくなったカメラは、大抵は油の差しすぎが原因である。

油の固着

 このような場合には、アマチュアカメラレストア業界(?)に伝統的に伝わる魔法のオイルがある。ライターのZippoオイルだ。無色透明で揮発性の高いZippoオイルは、固着した油の洗浄には最適なのである。同じような用途では工業用の代用フロンがあるが、これはアマチュアが少量入手するには難しい。だがZippoオイルなら大抵のコンビニで手に入るので、便利だ。

 さて、シャッターを動かす機構の軸部分に少量のZippoオイルを差しながら、様子を見る。ここで注意すべきは、いくら揮発性が高いからといっても、大量に差さないことである。量が多いと、必要な油分すべてを洗い流してしまい、今度は逆に動きが渋るようになってしまう。完璧を期するならば全部を分解洗浄して、改めて新しい機械油を差すべきかもしれないが、アマチュアでそこまではなかなか難しい。

 オイルを少量差すには、注射器が便利だ。医療用のホンモノではなく、模型用などのものが500〜600円で売られている。あるいは100円ショップでも、香水の詰め替え用器具として、ポンプ状の注油機が売られており、最近はそれを利用している。

 動きが粘っていたEXAも、Zippoオイルの洗浄で問題なく動くようになった。正確には実写してみないとわからないが、一応全速でスピードが変わるようである。

 面白いのは低速シャッターの仕組みだ。よくおもちゃの車で、手に持って前に何度かグイングインと走らせて置き、手を離すと慣性で進むような仕組みのものがあっただろう。何というものなのか知らないが、ああいう仕組みがカメラの中に入っていて、シャッターの後幕のスタートタイミングを鈍らせているのであった。ずいぶん乱暴なしかけのような気がするが、それでも十分役に立つのだろう。

 もう一つの懸念事項であったミラーは、一応洗浄したが、完全に綺麗にはならなかった。ミラーが当たる部分のモルトは全部はがして、綺麗なものに張り替えた。

photophoto ミラーには若干の曇りが残った(左) モルトは新しいものに張り替えた(右)

photo フィルムカウンター部の外し方がわからなかったのが残念

 これでレストア完了だが、心残りなのはフィルムカウンターの部分をどうやって外せばいいのか、わからなかったことだ。この下にはネジが2本あり、これを外せば軍艦部のカバーが外れてファインダの中まで清掃できたのだが、無理に回して壊してしまってもつまらない。直すつもりが壊してしまうというのが一番ムナシイので、外し方がわかるまで保留することにした。

小寺 信良

photo

映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作はITmedia +D LifeStyleでのコラムをまとめた「メディア進化社会」(洋泉社 amazonで購入)。



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