ここからは試乗のインプレッションを。
ハンドルを握り一般道に出てみると、「何、すごく良くなってるジャン!!」とその進化に驚きました。
一度でもスマートに乗ったことがある人ならばご存じだとは思いますが、そのコンセプトやスタイリングだけでなく、走りの面でもとっても個性的だったのが、先代までのスマート。
クリープのない発進、変速の継ぎ目が気になる加速、ボディサイズの小ささから来る不安定さ……などなど。これらはマニアに言わせると、そのまま魅力にもつながる部分ではあるのですが、普通の方にとっては少しクセが強かったのも事実では?
実際このスマート、日本では男性ユーザー、男性ファンが圧倒的なシェアを占めるといいます。2ペダルでありながらマニュアルライクな操作感が、男性に受けたのでしょう。
今回のモデルチェンジではこんな説明がありました。
「世界中に熱狂的なファンを持つスマートの乗り味を殺さないように、グレードアップさせました」。
そう、乗り味が決して普通じゃないのは従来通りで、クリープもなく、独特の変速ショックも残ってはいるんですが、その上に薄くヴェールをかけたかのように、乗り味がマイルドに仕上がっていたのです。例えるなら、それだけでは非常に強いクセを持つジンにソーダを加えてステアし、飲み口を柔らかくしたかのよう。
1リッターにアップされた排気量の恩恵も、力強い加速時に感じることができます。ボディサイズの拡大によって車重も増えていますが、そんなことを微塵も感じさせない低速からの加速は、頼もしいかぎり。
また、ボディサイズの延長は車体の安定性にも大きく貢献していました。
高速走行中、コーナーに差し掛かっても不安のないグリップでしっかりと踏ん張ってくれます。拡大したとはいえサイズがサイズですから横風の影響は受けやすいのですが、ふらつき感はかなり低減されました。気になるのは6速から5速になってしまったトランスミッションですが、これも出力がアップされたため、まったくと言っていいほど気になりませんでした。高速走行といえば、もっとも驚いたのが車内の静粛性!これは飛躍的に向上しています。
今、世界中でスマートに注目が集まっています。
ロンドンでは試験的にスマートed(エレクトリックドライブ、つまり電気自動車です)が導入されていますし、欧米では100キロを3リッターで走るcdi(ディーゼル)が人気を博しています。また、mhd(マイクロ・ハイブリッド・ドライブ)モデルも登場し、まさに時代の寵児です。
だけどスマートの功績はこれらのエコ性能だけではなく、“小さいクルマってなんとなく気後れしちゃう……”なぁんてコンパクトカーにつきまとうコンプレックスを、払拭したことではないでしょうか。
お洒落で可愛く小回りが利いて、乗っていて恥ずかしくないクラス感。
スマートの快進撃はまだまだ続きそうです。
個人的にはトルクフルな加速が期待できるcdiが、早く日本に導入されないかな、なんて期待しちゃってるんですけどね。
今井優杏(イマイ ユウキ)
2006年にレースクイーンを引退し、レースを通じて知ったクルマの素晴らしさを伝えたい! とモータージャーナリストに転身。また、MCとしても、モータースポーツ関連イベントを中心に幅広く活動中。
愛車はFIAT・バルケッタ(赤)。ラテンのクルマを愛する情熱系。
クルマは所有も運転もJOIA(喜び)。もっと楽しみましょう!!
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