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リンカーン ナビゲーターの魅力は、パワーやスピードではなく、ブランドコンセプトである「アメリカン・モダン・ラグジュアリー」にある。 町中を走っていても、高速道路でも、とにかく静か。運転中は車外からの干渉を最大限にシャットアウトしている。段差や道路の継ぎ目などを走行した時に感じるのはまるで免震構造のビルを思わせる緩やかな振動。加速時の挙動は非常にスムーズで変速ショックもほとんどない。この静粛性、適度に落ち着いたエグゼクティブな空間は例えるならば「動くVIPルーム」といったイメージだ。 運転してみると、ハンドルの操作やアクセル、ブレーキに対してのレスポンスをはじめとして、全体的な挙動は非常に大人しい。また、高速道路では80キロを超えるとスクエアなボディーのせいか、やや風切り音が気になった。ナビゲーターに対して、ハイパワーだったり、ワイルドなアメ車の乗り味を求めている人は、やや肩すかしをくらったような気分になるかもしれない。しかし、これはそういうクルマではないのだ。 前ページのインタビューに登場したフォード・ジャパン・リミテッドのランディ氏はアメ車を「その方の人生観や、情熱、それを具現化するために持つものだ」と語った。これはクルマにパワーやスピード、あるいは機能性や燃費を求めるのならば、それを満たすものを買えばいい、ということになるだろう。ややもすると強気な発言にとれるが、フォード・ジャパンの狙いが、他車との違いをしっかりと確立し、その特異性を求める顧客のハートをしっかりとつかむことなのであれば、この方向性はあながち間違っていないのかもしれない。 |
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取材・文 松井 悠
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