愛すべきキャラクターウォッチの世界+D Style 時計探訪

» 2008年12月09日 12時24分 公開
[泰 仁,ITmedia]

シェルマンから登場した本格キャラクターウォッチ

photo 「スターダスト・ドリーム」

 ミッキーマウスのデビュー作「蒸気船ウィリー」が公開されて、ちょうど80年を迎える今年、アンティークのレアピースや、独立時計師の希少コレクション、そしてオリジナルウォッチの開発でも知られるシェルマンから、“大人のためのミッキーマウス・ウォッチ”がリリースされた。その名も「スターダスト・ドリーム」。

 普通のキャラクターウォッチとひと味違うのが、鐘の音で時刻を知らせる“ミニッツリピーター”を搭載していること。機械式時計好きにとっては憧れの機能だが、これをクォーツ時計で実現した。ケース左側のスライドレバーを押し下げると、時刻を音で知らせてくれる仕掛けが組み込まれている。

 さらに音響効果以外に、ビジュアル的な見せ場も用意されている。一見すると秒針がないこの時計、実はミッキーの両手から広がるようにデザインされた小窓にきらびやかな星団が現れ、それが1周すると、ちょうど60秒となる。ゆっくりと動く星の流れで60秒を感じることができるわけだ。まさにスターダスト・ドリーム。


photo 小窓に現れる星団がぐるっと1周すれば60秒。秒単位で時間を気にする時の1分は長いけれど、このビジュアルなら楽しくながめられる

 ちなみに、ミニッツリピーターは、2種類の異なる鐘の音で、現在時刻を分の単位まで知らせてくれるという超絶機能だ。例えば9時56分の場合、まず鐘の音がチンチンと9回鳴り、9時を知らせる。次にカンカンと別の音色で15分単位を知らせる。56分の場合は“15分の音”が3回鳴り、最低でも45分以降だと分かる。最後にチンカン、チンカンと2種類の鐘を組み合わせた音で分単位までを知らせる。これが11回鳴ると、45分+11分=56分。

 時計の文字盤を見なくても、音だけで時刻を知らせる――この仕組みは懐中時計の時代からあった複雑機能だが、機械式腕時計でこれを実現しようとすると、その価格は実にウン千万円台!(もはや不動産物件並みの値札)。でも、スターダスト・ドリームの場合はクォーツムーブメントで操作しているので、グッと財布にやさしいプライスだ。

photo ケース左側のレバーを押し下げて、ミニッツリピーターをスタートさせる仕組み

スターダスト・ドリーム

SS製ケース、クォーツムーブメント(月差±20秒)、サイドスライドレバー式ミニッツリピーター、ウインドウ式秒表示

電池寿命:約2年(ミニッツリピーターを1日平均18秒間鳴らした場合)

価格:18万4800円

問い合わせ先:シェルマン

http://www.shellman.co.jp/


(C)Disney
企画・販売 シェルマン/製造元 シチズン時計

大人もハマりまくるキャラクターウォッチ

 世界最初の量産されたキャラクターは何かといえば、やはりこちらもミッキーマウス。1934年にアメリカのインガソル社からポケットウォッチ、腕時計、置き時計が発売されている。当時の価格で腕時計が2.95ドル。ポケットウォッチと置き時計がそれぞれ1.50ドル。当時の広告では150万個のセールスを記録したと紹介されている。驚くべき大人気ぶりだ。

 キャラクターウォッチのお客さんは何といっても子供たち。なので子供たちに人気のキャラクターがダイヤルに描かれるわけだが、そのモチーフとなるキャラクターはバラエティーに富んでいる。

 例えばミッキーウォッチ発売の翌年、1935年には当時人気だったキャラクター「ディック・トレーシー」がウォッチとして登場し、1949年にはホームラン王のベーブ・ルース、近年ではダースベーダーなども登場している。

 ディズニーキャラクターでは、ミッキーマウスを筆頭に、ドナルドダック、ミニーマウス、101匹わんちゃん、眠れる森の美女などが腕時計や置き時計として、アメリカ本国だけでなく、日本やフランスでも昭和30年代〜40年代にかけて発売された。現在これらの時計をコレクションしているのは、当時小学生だった世代(40〜50代)が案外多い。

 大好きなキャラクターだけに、いろんな種類を手に入れたいが、親に買ってもらえるのは、せいぜい一家にひとつ。当時、欲しくても買ってもらえなかった恨みを晴らすかのように、集めている人もしばしばだ。この世代のコレクションの対象は、キャラクターウォッチに限らず、「エレキギター」「ステレオ」「オートバイ」、さらには「スーパーカー」にまで及ぶが、その中でもキャラクターウォッチは買いやすい部類に入る。

 発売当時の価格からの上昇率からみれば10倍もめずらしくないが、もとの値段も国産の置き時計ならば1500円〜3000円程度なので、高くても3万円前後。ただし子供がさんざん使ったものだと、それなりに傷みもひどく、ケースにヒビ、欠け、割れが見られたりもする。デッドストックで箱に入ったままの状態で見つかったりするのは、ごくまれである。

国によって、微妙にちがうキャラクター容姿

photophoto 1950年のインガソル製ミッキーウオッッチ。両手が長短針となるタイプ。顔に赤い斑点があるのが特徴だ。発売当時の赤い革ベルトは極端に短くて、あきらかに子供用である
photophotophoto ブラッドレイタイムの希少なデッドストック。かわいらしい赤いBOXの中には保証書まで入っている。時計ベルトにカフストラップをつけて腕にはめるタイプ。両手が長短針だが上のインガソル製ウォッチとはミッキーの向きが逆。また足の開き具合もちがっている
photophoto セイコーのディズニータイム。キャラクターは101匹わんちゃん。ダイヤルは角度によって立体的に見えたり、半透明カラーのケースは倒れてもすぐに起き上がる、“おきあがりこぼし”のような仕掛けがされている(子供向けの配慮?)
photophotophoto こちらは四角いケースのセイコーのディズニータイム(未使用品)。ケースのトップにはキャラクターの顔が描かれた丸いプレートが付くが、子供がこの部分を折ってしまっている場合が多い(残念)。外国製に比べ、日本製キャラクターのほうが可愛い顔をしているのは気のせいだろうか?
photophotophoto こちらの2本はフランスのBAYARD社製の置き時計。「眠れる森の美女」は、手にとまっている鳥が秒針代わりにカチコチと動く。また長短針にも2羽の鳥があしらわれるなど面白い工夫が見られる。「ドナルドダック」のほうは、ドナルドの顔がやはり動く仕掛け。ケースの足が、ドナルドの脚をデザインしているのが洒落ている

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