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第120回 秋の花と実の関係今日から始めるデジカメ撮影術(1/3 ページ)

» 2009年09月24日 08時45分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 秋である。またさまざまな花が咲き始め、実がなり始め、マニアじゃなくともカメラを向けなくなる季節。

 撮影には、マクロ撮影ができるレンズ……マクロレンズがベストだが、そうじゃなくても、最短撮影距離が短いレンズや撮影最大倍率が大きなレンズを用意すれば結構撮れる。

 最短撮影距離は撮像素子面から何センチまでピントが合うか、だが、広角で20センチまで寄れるレンズと、望遠で50センチまで寄れるレンズではどちらがより大きく撮れるか分からない。

photo 標準ズームレンズ「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS」を組み合わせたキヤノン「EOS Kiss X3」

 で「最大倍率」というのは、最も大きく撮れるとき、どのくらい大きく撮れるかを教えてくれるものだ。メーカーによってカタログに明記してない場合もあるので比較は難しいが、例を挙げると、キヤノンのエントリー向けデジタル一眼レフ「EOS Kiss X3」レンズキットに付いてくる標準ズームレンズ「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS」だと、25センチが最短撮影距離で、最大倍率は0.34倍。ダブルズームキットに付いてくる望遠レンズ「EF-S55-250mm F4-5.6 IS」は撮影最短距離が1.1メートルと長いが、最大倍率は0.31倍。望遠レンズな分、大きく撮れるわけだ。

 ちなみにシグマの「17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO/HSM」というレンズは最短撮影距離が20センチで、撮影最大倍率は約0.43倍とちょっと大きく撮れる。一般に、単焦点のマクロレンズは撮影最大倍率は1倍(等倍)。何センチまで寄れるかより「どのくらいでかく撮れるか」が大事なのだ。

 てなわけで、花を撮るときのレンズ選びの参考に、あるいは新しくレンズを買うときの参考までに。

実は難しいピント合わせ

 花を大きく撮ろう、と思うと、最初の難関がピントだ。近寄れば近寄るほど被写界深度(ピントの合う範囲)が狭くなるので、ほんのちょっとのことでピントがズレる。分かりやすく少し拡大して。

ピントが微妙にズレて花びらの先に(写真=左)。ピントが花の中心に(写真=右)

 秋の花のはずなのにいきなり桜かよ……って、実はこれ「十月桜」と呼ばれる秋に咲く桜なのだ。春にも咲くが秋にも咲く。

 ピントをちゃんとAFで合わせたつもりでも、撮ってみたら狙いとズレてしまう可能性としては、そもそも別のところに合ってた、のほかに、フォーカスロックした際にズレた、風が吹いたり自分が少し動いたりしてしまった、がある。

 一眼レフはAFセンサーのある場所でフォーカスを合わせる必要があるので、構図に凝りたいときは、どうしてもいったんフォーカスを合わせてからカメラを動かしてから撮るケースが多い。そのときちょっとカメラと被写体の距離がズレるだけでピントがはズレる。風の時はいわずもがな。

 液晶モニターで拡大表示をして確認するのはもちろんのこと、それでも現場では気づかないことがあるので、何枚も撮っておくことや三脚を使ってカメラ側が不用意に動かないようにすることが大事。

 もうひとつ、ちょっと絞り込むという手がある。絞りを開放にして撮ると大きくボケてほわっとした被写体が浮かび上がったような写真になるけれども、花のような立体的な被写体だとそれもよい。絞り込むとピントの合う範囲も広がる。

F1.7の明るいレンズで正面から撮影。大きくぼかしてみた
F4.5で望遠で撮影。ちょっと風が吹いたせいでピントの山がズレてしまった(写真=左)。F8に絞って撮影。ボケは少なくなったが、くっきりと写っている(写真=右)

 となると、背景をどうするかが大事になってくる。

後ろの花が少しかぶってしまった(写真=左)。少しだけ角度を変えて後ろの花を離してみた(写真=右)

 同じ花を同じような場所から撮ってもちょっとしたことで印象は変わるのだ。どういうのがよい・悪いよりも、何をどう撮るかはその人の個性ってことで、細かいところまで気を配って気に入った写真を作るのがいいだろう。

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