コンパクトデジカメ2011年春モデル、4つの傾向(2/2 ページ)
CP+も終了し、各社コンパクトデジカメはほぼ出そろったが、すべてが店頭に並ぶまでにはまだ時間がある。まずは各社新製品から見える、春モデルの傾向を整理した。
ジオタグは普及するか
裏面照射型CMOSセンサーで画質向上、高倍率ズームで利便性向上、どちらもカメラとしての基本性能向上を目指したものだが、デジタルカメラならではの新要素として各社が取り組み始めているのがGPSの搭載だ。
今春モデルではソニー「DSC-HX7V」、「DSC-HX9V」「DSC-TX100V」、「DSC-HX100V」、パソニック「DMC-FT3」、富士フイルム「FinePix F550EXR」、ペンタックス「Optio WG-1 GPS」、キヤノン「Powershot SX230 HS」が、既存モデルではカシオ計算機「EX-H20G」がGPSを搭載する。
測位タイミングや地図内蔵の有無などの細部に相違点はあるものの、各製品ともに、撮影した写真のEXIFに位置情報(ジオタグ)を付加して活用しようという意図は共通している。EX-H20GやDMC-FT3、FinePix F550EXRなどは本体内に地図もしくは世界各地のランドマーク情報を搭載することでカメラを地図付き画像ビューワーとして利用できる。DSC-HX100Vなどは本体内に地図を内蔵しないが、付属ソフトなどを利用すれば、地図+写真を展開できる。
確かに「地図+写真」は写真の楽しみとして新鮮味あるモノだが、周辺基地局の情報も利用できる携帯電話カメラのGPS機能に比べると各製品とも位置特定に時間がかかる傾向にあることは否めず、また、位置情報の付いた画像データをどう利用するかという点についても、絶対的な支持を得るアプリケーションやサービスはまだない。そうした意味でも関係各社がどのようなアプリ/サービスを展開していくのかが普及の鍵を握りそうだ。
ただ、海や山といったアウトドア環境(人里離れた場所ならばなおさら)では携帯電話カメラ機能の出番は必然的に少なくなるため、「Optio WG-1 GPS」「DMC-FT3」といった耐水・耐衝撃性能などを備えたタフネスモデルへのGPS搭載はまた違った需要を掘り起こしそうだ。
オンリーワンモデルの増加
差別化の難しい製品といわれるコンパクトデジカメだが、他社の追従しない独自路線を選択した、欲しい人には選択の余地がないオンリーワンな製品も今春にはいくつか登場している。その最たるものは、カシオ計算機「EX-TR100」とオリンパスの「XZ-1」だろう。
EX-TR100は「可変フレームデザイン」というユニークな構造を採用しており、レンズ部と液晶部の間には270度の回転軸、レンズ部とフレーム部の間には360度回転するヒンジが設けられており、さまざまなスタイルでの撮影を可能としている。また、被写体の動きを検出してセルフタイマーを起動する「モーションシャッター」は友人との記念写真、パーティなどイベント時の撮影に力を発揮するユニークな機能だ。
XZ-1はデザインこそトラディショナルだが、112ミリ相当のテレ端でもF2.5と非常に明るい、同社のレンズブランド「ZUIKO」の名前を冠した「i.ZUIKO」レンズと1/1.63型 有効1000万画素CCDという大型センサーを搭載しており、コンパクトデジカメに画質を求めるひとにとっては注目の製品といえる。
また、サイズやそのキャラクターからしていわゆるコンパクトデジカメの分類に含めるべきではない製品ではあるともいえる、光学式と電子式のメリットを融合させた新ファインダー「ハイブリッドビューファインダー」を搭載した富士フイルムの高級機「FinePix X100」なども今春要注目のオンリーワン製品といえるだろう。
このほかにもタッチパネル液晶による操作インタフェースを採用した製品の増加やハイビジョン動画機能の一般化、一眼レフライクなスタイルの高倍率ズーム機のさらなる高倍率化(富士フイルム「FinePix S3200」は24倍ズームレンズ、ニコン「COOLPIX P500」は36倍ズームレンズを搭載している)などのトピックもあるが、詳細については今後の製品レビューにて紹介していきたい。
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