視点をハードウェア周りに戻そう。本機ポート類は、イーサネット(RJ-45、100Base)を始め、Type II PCカードスロット×1、RJ-11ポート(FAXモデム)×1、CFカードスロット×1(左側)、IEEE1394×1(右側)とUSB 2.0×2(右側と背面)が備わっている写真3、4。ほかにもキーボード手前にマイク入力×1、ヘッドフォン出力×1がある。また、内蔵ハードディスクは40GB。プリインストールモデルであるからこそイーサネットが標準認識されているのはもちろん、起動時には効果音も聞けた。一般的に、ノートPCへLinuxをインストールするには苦労がともなう。すべて整備されているのはうれしい点だ。
電源オンのJDSログイン後、USB機器を幾つか接続してみた(メルコ USBメモリ128M。エプソン PM-740DUなど)。プリンタ設定はポートをUSBに指定すればCUPSで利用することができる。ただし、プリンタモデル名は海外輸出モデル名となっており、エプソンやキヤノンなどラインアップの多いモデルではドライバの選択を誤りやすいかもしれない。また、USBメモリはスロット挿入と同時にSCSIドライブとして認識した。ほかにも、2.0対応の外付けHDDユニットを接続してみたが、十分なスループットが得られていた。ほかのさまざまな周辺機器が利用できるかは、各メーカーがLinuxのドライバを用意しているかにかかっている。
バンドルされるアプリケーションの目玉は、やはりStarSuite 7だが、Javaメディアプレイヤー、Javaを使ったオンライン更新、Javaインスタントメッセンジャーなど、JDS独自のものが含まれる。Linasis VAは、コストパフォーマンスの高さをウリとする製品のため、オフィスでのStarSuite 7利用は大きなポイントとなるだろう(画面7)。
そして、気になるのは全体的な動作スピードだ。本機のCPUはVIA Antaur/1GHz、標準メモリ256Mバイト(最大768Mバイト)、ビデオカードにSavage 4(AGP)が搭載されている。VIA Antaurは、NehemiahlコアVIA C3のモバイル版として位置づけられるCPUだ。もし本機に「Windowsがインストールされていたら」モバイルPentium 4搭載機には水をあけられたかもしれない。実際、Mozillaの起動などはCeleron/2GHzのCPUを搭載したデスクトップより、体感する限り遅く感じる。そうとはいえストレスになる遅さではなく、せいぜい数秒程度の違いだ。
このような背景を踏まえた上でも、Windows搭載モデルの感覚でハードウェアスペック、価格を考えれば、「想像以上に軽快な動作」といえる。ウィンドウの切り換え、アプリケーションの起動、各種ダイアログの操作や、筆者は何よりStarSuite 7の動作の速さ、軽快感に驚いた。Pentium 4クラスのデスクトップPCでMicrosoft Office 2003を利用するよりも、本機でStarSuiteを利用する方が軽快だろう。Javaを利用するような場面では、本機は間違いなく格上デスクトップと同等以上の軽快感がある。「Java」を冠しているのは、決してウリだけではない。残念ながら、このレビューではスペースの都合上、StarSuite 7自体の機能性には触れられない。
軽量コンパクトなノートに求められるものは何か。複雑なグラフィック描画や複数アプリケーションの同時操作、といった処理が重い作業ではないはずだ。メールやWebブラウズ、簡単な文書の作成、スケジュール管理。そのような単純作業がメインになってくる。本機はそのようなカテゴリにぴったりだ。そして「プリインストールモデル」のメリットも見い出せる。
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