日本HP、64ビット対応Xeon搭載サーバなどを発表、強力な援軍も

日本HPは64ビット拡張技術搭載Xeonを搭載したProLiantなどを発表。大手ベンダーとしては後発の発表ながら、Microsoftという心強い援軍を得てスムーズな移行を促進する考えだ。

» 2004年08月05日 19時56分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は8月5日、都内で会見を行い、同社の「HP ProLiantファミリ」サーバ製品系列において、インテル エクステンデッド・メモリ64テクノロジ(EM64T)対応Xeonプロセッサを搭載した「ProLiant ML300」シリーズ(ML350/ML370)および「ProLiant DL300」シリーズ(DL360/380)、ブレードサーバ「BL20p」、AMDのOpteronを搭載した「ProLiant DL145」を発表している。BL20pを除いていずれも同日より受注し、8月下旬から出荷を開始する(BL20pは9月提供開始予定)。なおLindenhurstの不具合(関連記事参照)に関してはBIOSでフィルタリングすることで対応しているという。

 挨拶に立ったエンタープライズストレージ・サーバ統括本部 統括本部長の松本芳武氏は、業界標準テクノロジが顧客にもたらすベネフィットとして「投資の保護」「豊富な選択肢」「適正な投資」を挙げる。そして、EM64Tを搭載したXeonの登場により、32ビットシステムから64ビット環境への移行が進むと同氏は指摘する。また、従来のメインフレームやRISCプロセッサについてもItanium2への移行が進むと話す。

松本氏 「日本HPのサーバ製品戦略は『標準化+イノベーション』」と話す松本氏

 今回発表された製品群は、主に1wayから4wayのラインアップとなっている。注目すべきは同社のサーバのポートフォリオである。同社は今回の発表により、これまで32ビットだった分野のサーバ群を軒並み64ビットにシフトさせている。

「デルは限定的なサーバポートフォリオとなっているし、IBMやSUNはプロプライエタリな技術をベースとしたものとなっている。日本HPは64ビットのx86とItanium2で1〜128wayまでを包括的にサポートしている点が差別化の要素となっている」(松本氏)

 また、価格面でも既存製品との価格差を最小化している。例えば同社のボリュームラインである「ProLiant DL300シリーズ」では今回「DL360」および「DL380」のGeneration4を出荷しているが、価格は28万3500円となっている。これは従来のGeneration3と比べてもほとんど同じ価格であり、顧客へのアピールとなっている。

 なお、「ProLiant **3**」が「300系」と呼ばれるように、「ProLiant **1**」は「100系」と呼ばれる。両者の違いは主に管理面の充実度合いだ。100系では管理面の機能を大幅に削ることで10万円台の価格帯を実現している。

 こうした施策により、同社はProLiantファミリの販売について、今後6カ月の販売目標のうち、実に9割を64ビット拡張テクノロジ搭載モデルにすることを狙っている。

Opteronとの住み分けは? 32ビットは?

 今回発表された「ProLiant DL145」は、AMDのOpteronを最大2CPU搭載可能な1Uサイズのサーバだ。4月にもOpteron搭載サーバを発表しているが、EM64T対応Xeonとの住み分けについてエンタープライズストレージ・サーバ統括本部 インダストリー スタンダード サーバ製品本部 本部長の上原宏氏は、「Opteron搭載サーバを発表した際は、32ビット環境からの移行パスとして、そのプライスパフォーマンスでOpteronに強みがあると考えていたが、実際に販売を開始してみると、引き合いの90%以上がHPC用途だった。当初期待していたほどの引き合いはなかったが、検証などの数は増えている」と説明した。

 また今回、64ビットの製品ラインを包括的に提供したことで、今後32ビットプロセッサを搭載する製品ラインをどうするのかについては、「インテルのロードマップに従ったリリースとなる」と答えるに止まった。

 しかし、現時点での64ビット環境への移行のメリットについて上原氏は、「32ビット資産を継続利用できるので、64ビットシステムは既存システムにプラスアルファがある」とし、強力に64ビット化を推し進めることを匂わせた。

Microsoftという援軍も

 同社ではMicrosoftからの力強い援軍も得ている。同社とMicrosoftは戦略的長期提携関係である「Frontline Partnership(FLP)」を締結し、ISV支援パートナープログラムやItaniumベースのソリューションセンターを開設するなど協調関係を保ってきた。

 今回、「FLP: 64bit Windows ISVパートナプログラム」を開始し、主要アプリケーションベンダーに対し、HP ProLiant ML350 G4でWindows Server 2003 for 64-bit Extended Systems(SP1)へのポーティング、検証を支援することが発表された。これにより、結果的にユーザーにも「開発/検証のプラットフォームはHP ProLiant」であると印象付けることができることになる。なお、このプログラムでは販売マーケティング活動の支援も行うという。

 考えてみると、ここ数日で各ベンダーから一斉にEM64T対応プロセッサを搭載するサーバが発表されているが、「そのうちMicrosoftが参画しているのは日本HPだけ」(上原氏)である。

 だが、OSに関してはWindows Server 2003 for 64-bit Extended Systems(SP1)のリリースは2005年の登場予定となっている。そのため現在でこれらのハードの性能を最大限に引き出すには同社がOEM提供するRed Hat Enterprise Linuxなどを使うことになるだろう。この部分に関してはMicrosoftでもOSの交換プログラム(アップグレードパスと思われる)を検討しているという。その意味では早すぎる投資とはならないといえるだろう。

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