デルが64ビットXeon搭載PowerEdgeサーバ、「ハイエンドでも首位に」と浜田社長

64ビット拡張機能付きXeon搭載の第8世代サーバを発表したデルの浜田社長は、「ハイエンドサーバでもナンバーワンになる」と宣言した。そのためには、特にサービス/サポートが重要だとし、サービスのためのインフラ、スタッフ、およびメニューの拡充が自身の目標だと公言する。

» 2004年08月02日 19時15分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 デルが8月2日、64ビット拡張機能付きXeonを搭載した第8世代サーバを世界同時発表した。時差の関係から最も早いお披露目となった東京では、都内のホテルで浜田宏社長が記者発表会に臨み、「ハイエンドサーバでもナンバーワンになる」と宣言した。

 基幹分野への殴り込みを宣言する場として浜田氏が選んだのは、ここ数年で最大ともいえるPowerEdgeのデュアルプロセッササーバライン一新の発表会だった。ラックマウント型の「PowerEdge 2850」「同1850」、タワー型の「PowerEdge 2800」「同1800」は、6月末にインテルから発表されたエクステンデッド・メモリ64テクノロジ(EM64T)対応のサーバ向けXeon(最大クロック数3.6GHz)と、この日発表されたばかりのチップセットE7520を併せて搭載する。

 サーバ向けXeonプラットフォームは、4Gバイトを超える64ビットメモリアドレッシングだけでなく、性能を50%引き上げる800MHzフロントサイドバス、消費電力を25%節約するデマンド・ベース・スイッチング(DBS)、次世代の高密度DDR-2メモリなど、最新テクノロジーが盛り込まれている。発表会に同席したインテルの町田栄作 取締役エンタープライズ&ネットワーク・ソリューション本部長は、「クルマに例えれば、フルモデルチェンジ」と話すとおり、“ヘッドルーム”にかなりの余裕が感じられ、インテルが「Itanium 2がハイエンドサーバ、Xeonはワークステーションとミッドレンジサーバ」と位置づけているにもかかわらず、「スケーラブル・エンタープライズ戦略」を推進するデルではHPCC(High Performance Cluster Computing)分野やバックエンドデータベースサーバの分野にも切り込めるとする。

 デルのスケーラブル・エンタープライズ戦略とは、標準化が進み、コモディティーとなった2ウェイ、4ウェイのIAサーバを組み合わせて効率の良いシステム構築を図るアプローチ。ビジネスの成長に応じて柔軟にシステムを拡張できるため、TCOを削減でき、また高いROIも実現できるとしている。

「安いだけではない」

 1997年にIAサーバ市場への参入を発表したデルは、実質わずか6年半で20%のシェアを獲得、NECと肩を並べ、2004年は首位の座を奪う勢いだ。かつては価格性能比が大きくクローズアップされたデルのIAサーバだが、今やその差も縮小している。「安いというだけで売れているわけではない」と浜田氏が話すとおり、新しいPowerEdgeサーバでは、システム管理機能が強化されている。

 サーバ監視の標準インタフェース、IPMI(Intelligent Platform Management Interface)の最新仕様である1.5に準拠したシステム管理コントローラーをオンボードで搭載したほか、オプションでリモート管理カード「DRAC(Dell Remote Access Controller)4」も用意する。DRAC4では、例えば手元のノートパソコンのフロッピーディスクやCD-ROMを使ってリモートのサーバを起動できる「仮想メディア」機能、Active Directory経由のユーザー認証機能、OSに依存しない画面キャプチャ機能などが新たに追加されている。IPMIという標準技術によってOSに依存しないコンソールのリダイレクトを実現しており、発表会では「IPMI sh」(シェル)を使ってサーバのシャットダウンするデモも行われた。

 EM64T対応のOSとしては、Red Hat Enterprise Linuxが利用できるほか、9月上旬には64ビット版Windows Server 2003の「早期導入支援プログラム」もマイクロソフトと共同で開始する予定。

 新しい市場への参入を表明するたびに「デルには無理」との声が聞かれたが、浜田氏はハイエンドサーバでもリーダーになれると意気込む。クリアすべき課題も多いが、浜田氏は、「サービス/サポート」、特に販売後のそれが重要だとし、サービスのためのインフラ、スタッフ、およびメニューの拡充が自身の目標だと公言する

 「“デルのサービスは良い”と言われる会社にしたい」と浜田氏。

 エンタープライズ事業のソリューションビジネスを統括する多田和之ソリューション本部長によれば、年内には「プラチナサービス」を追加し、UNIXシステム並みのサービスレベルを提供していくという。

 最小構成価格は、高さ2UのPowerEdge 2850が30万2400円、高さ1Uの1850は24万4650円となっている。

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