有料検索めぐる特許論争でGoogleとYahoo!が和解

GoogleはYahoo!との間に抱えていた特許訴訟と株式をめぐる論争を解決した。IPO前に2つの問題を解決したのは朗報だが、和解費用が四半期赤字をもたらすことになりそうだ。(IDG)

» 2004年08月10日 10時20分 公開
[IDG Japan]
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 Googleは8月9日、Yahoo!との間に抱えていた2件の論争で和解し、その一環としてYahoo!子会社のOverture Servicesが特許を持っている技術のライセンスを受けることを発表した。

 このライセンスは、米国特許6,269,361号「コンピュータネットワーク検索エンジンが生成する検索結果リスト上の位置を左右するシステムと手法」と関連特許をカバーするものだと両社の発表文には記されている。Yahoo!の方は、Googleに対する特許訴訟を取り下げると発表文で述べている。Yahoo!が昨年買収したOvertureは、2002年4月にGoogleに対して訴訟を起こしていた。

 さらに両社は、2000年のサービス契約に関連する株式をめぐる論争も解決した。Googleは2003年6月にYahoo!に約120万株を発行したが、Yahoo!はもっと多くの株式を受け取る権利があると主張していたと、9日にGoogleが米証券取引委員会(SEC)に提出した書類には記されている。

 この和解はGoogleにとって朗報だ。同社は株式公開(IPO)実施の前に、長引く法律問題の解決を目指すべきだとアナリストは指摘していた。またYahoo!にとっては、ほかの企業に対して特許侵害を申し立てる場合に、自身の立場を固められるかもしれないとJupiter Researchのアナリスト、ネイト・エリオット氏は語る。

 株式問題および特許訴訟の和解、そしてライセンス契約の一環として、GoogleはYahoo!に対しA級株式270万株を発行した。

 両社の代表は、両社いずれも今回の合意条件に満足していると話している。

 Overtureは問題の技術について、Googleに使用料支払済みの永続的なライセンスを供与したと、GoogleのSEC提出書類にはある。今回の和解と関連して、Googleは7〜9月期に非現金費用を負担するという。同社はこの費用をIPO公募価格の中間値を基に計算して、2億6000万〜2億9000万ドルと見込んでいる。ただし、同四半期には推定1億〜1億1500万ドル分の関連する税制上の優遇措置を受けられる見通しだ。

 Googleは実際のIPO価格を使ってこの費用の大きさを決定する予定だ。同社の提出書類には、7〜9月期はこの費用のために赤字が出る見込みだと書かれている。赤字額の予測は記されていない。

 IPOを予定していることから、同社は可能な限り不透明性の払拭に努めなくてはならないとJupiterのエリオット氏は指摘する。

 「多数の株式を無償提供する考えを克服すれば、Googleにとって今回の件は純粋にプラスになりそうだ」(同氏)

 Gartnerのアナリスト、アレン・ウェイナー氏も同じ見方をしている。

 「投資を真剣に考えている投資家は皆、どんな未解決の法律問題があるかをチェックしている」と同氏。

 今回のライセンス契約は、大手検索会社の間で、自社サービスに他社の技術を使う方針を改める動きが進んでいる中で起きたものだとウェイナー氏。各社は検索を音楽サービスなどもっと広範な製品の重要なパーツとして利用したいため、独自の技術を開発している。こうしたほかの製品に他社の技術を統合する場合、時間と費用がかかると同氏は指摘する。

 「究極の統合されたツールを作る唯一の方法は、自分でそれを構築することだ」(同氏)

 Overtureは2002年にGoogleを提訴した際、ペイ・フォー・パフォーマンスサービスの特許を侵害されたと申し立てていた。このサービスでは、企業が自社事業と関連するキーワードに基づいた検索結果ページの広告表示位置に入札できる。広告主は、検索エンジン経由を介した自社サイトへのトラフィックを拡大するためにOvertureに料金を払う。当時Googleはこの申し立てに対し、特許侵害を否定していた。

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