WS-I、添付ファイル対応のプロファイルをリリース

WS-Iは、Webサービスで添付ファイルを容易に送信可能にするプロファイル3種をリリースした。(IDG)

» 2004年08月25日 17時52分 公開
[IDG Japan]
IDG

 Web Services Interoperability Organization(WS-I)は8月24日、Webサービスの技術を利用して添付ファイルの送信を容易にするプロファイル3種をリリースした。

 WS-Iは、同団体によって正式に承認されたプロファイルである「Final Material」として、「Basic Profile 1.1」「Attachments Profile 1.0」「Simple SOAP Binding Profile 1.0」を公開した。これらのプロファイルは、添付ファイルを使うWebサービスに関連する相互運用性問題に対応するもので、www.ws-i.orgでダウンロード提供されている。

 WS-Iによると、開発者はこれらのプロファイルを、相互運用性を備えた添付ファイル対応アプリケーションの構築メカニズムとして利用できる。プロファイルとは、特定タイプのソリューションを共同でサポートするWebサービス仕様群だとWS-Iは定義している。

 WS-I Basic Profile作業部会の議長で、IBM上級テクニカルスタッフメンバーを務めるクリス・フェリス氏は、「基本的には、オリジナルのBasic Profile 1.0にSOAP Messages with Attachments(SwA)のサポートを盛り込むために進めてきた取り組みの結晶が、今回のリリースだ」と語る。SwAとは、SOAPメッセージに添付ファイルをパッケージングするのに使うMIME関連の構造を定義するもので、World Wide Web Consortium(W3C)ノートとして扱われている。

 SwAは、Webサービスを経由してMPEGやJPEG、医療画像などのグラフィックイメージを送信するのに役立つとフェリス氏は説明する。「これらのファイルは、非常に大容量になる可能性があり、バイナリ形式だ。XMLではない」(フェリス氏)

 フェリス氏によると、WS-Iのプロファイルに注目しているのは、それらプロファイルに準拠した製品を提供するツールやプラットフォームのベンダーだ。IBMでは、計画中の「WebSphere 6」のリリース時に、これら3つの新プロファイルに準拠した機能を提供する計画だという。同氏はWebSphere 6の提供時期は分からないと言い添えた。

 新プロファイルがリリースされたことで、添付ファイルを使うWebサービスが、Basic Profile 1.1とAttachments Profile 1.0の構成に準拠しているかのテストが可能になる。添付ファイルを使わないWebサービスは、Basic Profile 1.1とSimple SOAP Binding Profile 1.0に準拠しているかテストすることが可能だ。Basic Profile 1.1とSimple SOAP Binding Profile 1.0の双方に準拠することは、Basic Profile 1.0に正誤表を加えたものに準拠するのと同等だとWS-Iは説明している。

 ZapThinkの上級アナリスト、ロナルド・シュメルザー氏は、新プロファイルはWebサービスが成長を続けていること、添付ファイルの相互運用性には標準的なインタフェースが不可欠なことを浮き彫りにしていると指摘する。

 「企業は顧客、パートナー、ソフトベンダーによる採用が進むまで、あるいは採用が進まない限り、WebサービスとSOAの広範な導入には消極的だと、多くの調査会社が報告している。それが次第に現実化しつつある。WS-Iの最初のプロファイルの完成により、潜在的な課題である標準の統一がクリアされた」とシュメルザー氏。

 「次に関わってくるのは添付ファイルの分野だ。企業は、相互運用性のメリットを得るためには、プロプライエタリなバイナリプロトコロルとフォーマットによって、添付ファイルが遮断されないようにすることを理解している。システムと企業をつなぐインタフェースの標準化は、XMLとWebサービスの核心的な部分だ。しかし、ここで大きなマイナス要素となるのは、XMLベースのWebサービスがとても非効率だという点だ。そうした理由から、WebサービスとSOAのパフォーマンスに焦点を当て、Webサービス導入のリスクを減らすDataPower(Technology)のような企業が登場しているわけだ」(シュメルザー氏)

 Basic Profile 1.0に続くBasic Profile 1.1では、相互運用可能なWebサービスの開発において、コアとなるWebサービス仕様をどのように利用すべきかがまとめられている。プロプライエタリではないWebサービス仕様のセットと、相互運用性を促進するための明確化、改良、解釈、増強がこの文書の特徴だ。

 Basic Profile 1.1では、バインディング固有のエンベロープのシリアル化要件を独自のプロファイル(Simple SOAP Binding Profile 1.0)に移行するためにバージョン1.0のプロファイルを再設計している。この新しい構造を採用したことで、Basic Profile 1.1ではSimple SOAP Binding Profile 1.0やAttachments Profile 1.0などのエンベロープのシリアル化を指定するプロファイルを容易に構成できるようになっているという。

 Simple SOAP Binding Profile 1.0は、エンベロープと呼ばれるメッセージ送信用のXML構造を定義する。このプロファイルは、その構造を使うように指示し、その利用に制約を設ける。これは、エンベロープのシリアル化とメッセージ中の表現に関連するBasic Profile 1.0の要件から派生したものだ。さらにこのプロファイルは、バインディングが相互に干渉しないように構成するための機能を備える。

 Attachments Profile 1.0はBasic Profile 1.1を補完し、SOAPメッセージと相互運用可能なSwA添付ファイルの送信をサポートする。WS-Iは現在、Basic Profile 1.1、Attachments Profile 1.0、Simple SOAP Binding Profile 1.0と併用するサンプルアプリケーションやテストツールの開発に取り組んでいる。

 WS-Iは、IBM、Microsoft、Oracle、Sun Microsystemsなどのベンダーがつくる団体で、Webサービス実装の相互運用性の向上に取り組んでいる。また同団体は最近、XML Schemaの利用にかかわる相互運用性の問題に注力する目的で、新たにXML Schema Work Plan作業部会を設立している。

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