デルモデルを支えるIT、「経営との融合がカギ」と山田CIOInterview(1/3 ページ)

膨れ上がる運用保守コスト、セキュリティ、情報漏えい……、情報システム部門の責任者にとって悩みは尽きない中、デルの山田CIOは「経営との融合こそが、社内情報システム部門の存在意義」と話す。

» 2004年08月30日 15時09分 公開
[聞き手:浅井英二,ITmedia]

ITバブルの消失から数年、米国市場ではIT支出が回復の兆しを見せ、ようやく日本市場でもその削減に歯止めがかかりそうだ。しかし、IT投資のROI(Return on Investment)を厳しく吟味する企業の姿勢に変化はない。それでも膨れ上がる運用保守コストに悲鳴をあげ、ITのブラックボックス化を回避するガバナンスも求められている。セキュリティ、情報漏えい……、情報システム部門の責任者にとって悩みが尽きない中、「経営との融合こそが、社内情報システム部門の存在意義」と話すのは、デルでCIOを務める山田祐治氏。デルの急成長を支えるITマネジメントについて話を聞いた。

日本企業の情報システム責任者らと頻繁に意見交換の場を持つデルの山田CIO

ITmedia 8月初め、デルは64ビット拡張機能付きXeonを搭載した第8世代サーバを世界同時発表しました。インテルでは、「ハイエンドサーバはItanium 2」と位置づけているのですが、デルはこれでバックエンドの領域にも切り込めると宣言しました。IAサーバは、基幹システムを担えるほど十分に成熟してきているのでしょうか。

山田 われわれがIAサーバ市場に参入したのが1997年ですので、それ以前は、いわゆるレガシーの技術で自社システムを構築していました。コストがかかり、拡張性に欠ける、まさに旧態依然としたものでした。

 1997年からPowerEdgeサーバを徐々に自社システムで採用してきましたが、OSやミドルウェアの成熟、そしてEMCとの協業がそれを加速させたと思います(2001年10月、EMCのストレージシステム、Clarixシリーズを“Dell|EMC”の共同ブランドで販売。2003年6月にはさらに2年提携を延長し、2008年10月まで継続することで合意している)。これにより、PowerEdgeサーバとDell|EMCストレージを組み合わせて、中規模から大規模システム、さらにはグローバルシステムと呼ばれる領域まで構築できるようになりました。

 既にわれわれもこの組み合わせでNCRのTeradataを稼動させ、180テラバイトのグローバルデータウェアハウス(全社レベルのDWH)を運用していますが、64ビット拡張機能付きXeonを搭載した第8世代サーバが出てきたので、このDWHのサーバも更新していきます。

ITmedia 第8世代サーバのラックマウント型(PowerEdge 2850/1850)は、どちらも2ウェイだったと思いますが……。

山田 はい。これまで4ウェイサーバでDWHを構築してきましたが、第8世代の2ウェイサーバに切り替えていくのです。

 デルでは、業界標準の技術や製品を組み合わせ、効率の良いシステム構築を図る「スケーラブル・エンタープライズ戦略」を推進しています。かつてのIT投資と違い、最初は小さく組み、ビジネスの成長に応じて柔軟にシステムを拡張できる技術が成熟してきました。われわれが、それを自社のITシステムで実践することによってショーケースにしたいと考えています。

 デルの成長を支えるITインフラを自社製品で構築していくことを「Dell on Dell」と呼び、私のようなシステム部門の責任者がさまざまな機会を通じて顧客に紹介していく活動を続けています。デルのクライアントPCやIAサーバを最も活用しているユーザーは、デルの情報システム部門だからです。毎年、日本でも「CIOナレッジシェア」を行い、本社のCIO(ランディ・モット氏)が顧客と意見交換したり、私も四半期に一度はラウンドテーブルを開いています。9月には「“Enterprise”Dell Days」(東京と大阪)でCIOの立場から話をするほか、イベント以外にも顧客に来社していただいたり、こちらが出向いたりと、かなり頻繁に意見交換をしていますね。

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