「The Netに新しいサービスレイヤを」Intel CTOが提案するネットの未来(1/4 ページ)

IDF Fall 2004最終日の基調講演、ゲルシンガーCTOはインターネットのさらなる発展のために、新しいサービスレイヤを追加しようと呼びかけた。「The New Net」ではいったいなにが可能になるのだろうか。

» 2004年09月13日 05時58分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 1973年に発明されたインターネット。当初は非常に限られたユーザーしかいなかったインターネットも、今や9億人が利用する巨大ネットワークに成長した。しかし、現在のまま、インターネットは成長を続けることができるのだろうか?

 ネットの向こう側に広がる複雑怪奇な世界を想像しながら、そうした懸念を持ったことのある人は筆者だけではないだろう。Intel CTOのパット・ゲルシンガー氏もその一人だったようだ。

 しかし、筆者と大きく違うところがある。それは彼がすでに現在のインターネットに潜む問題点を洗い出し、解決策として新しいインターネット「The New Net」の提案を行ったことだ。ゲルシンガー氏によると、IntelはThe New Netの開発をさまざまな企業や研究期間と進めているという。

30年変わらない希有なIT技術

 「IT業界では次々に新しい技術が開発され、古い技術はどんどん淘汰されていく。私が開発に関わったi386などのプロセッサも、その技術は3〜4年の寿命しかなかった。しかし、TCP/IPは30年も変わらぬまま現在も世界中で使われている」とゲルシンガー氏。

パット・ゲルシンガーCTO 「The New Net」の構築を訴えるパット・ゲルシンガーCTO

 よく知られているように、インターネットは核戦争にも耐えうるパケット交換式広域分散ネットワークとしてARPA(Advanced Research Projects Agency : 国防総省高等研究計画局)で開発されたARPANETから始まった。ただし、このときはインターネットの原型となるパケット交換式ネットワークにはなっていたものの、現在使われているTCP/IPプロトコルは存在しなかった。1969年のことである。

 TCP/IPの開発が開始されたのは1973年、現在のIP v4が完成したのは1974年の事だ。開発したのはDARPA(ARPAから1972年に改名。Defense Advanced Research Projects Agency)のボブ・カーン氏とスタンフォード大学のヴィントン・サーフ氏だった。ARPANETの成果を元に、物理ネットワークとアプリケーションの間に入り、ネットワーク対応アプリケーションの記述を容易にした。

 その後、ARPANETへのTCP/IP採用、1982年の軍用ネットからのARPANETの切り離し、1983年のBSD4.2へのTCP/IP実装などを経て、広域・ローカル問わず標準のネットワークとして世界中に広まり、インターネットが形成されていった。

 IDF Fall 2004最終日の基調講演でゲルシンガー氏がテーマとした「The New Net」では、そのTCP/IPを開発したサーフ氏をゲストとして招き、30年間変わらず使い続けられているTCP/IP=インターネットの問題点と今後の可能性について話が進められた。

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