IBM、Masalaをいよいよ今週リリース

複数のデータソースにまたがる包括的な検索を可能にすべくIBMが開発を進めてきた「Masala」こと「DB2 Information Integrator」が、まもなくリリースされる。

» 2004年09月29日 18時47分 公開
[IDG Japan]
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 IBMの計画に詳しい情報筋によると、同社は今週、待望久しい「DB2 Information Integrator」(コードネームはMasala)をリリースする。この製品は、企業ユーザーが広範なIBM/非IBM系情報ストアのデータを検索/分析することができる高度な検索エンジンを搭載するという。

 IBMではMasalaの投入により、Microsoft、Oracle、Yahoo!、Googleなどのライバル企業の技術よりも新しい検索技術を企業のIT部門に提供したいとしている。同製品は、企業の内外に分散した広範な形式のデータの中から非構造型データを検索することができる、と情報筋は話す。

 「多くの企業がインターネット検索技術の開発について宣伝し始めたが、IBMはいわば陰に隠れる格好で、HTMLドキュメント以外のデータにも対応した企業向け検索技術の開発を進めてきた。彼らは、異なる角度からこの問題に取り組むことが差別化につながると考えている」(情報筋)

 IBMはMasalaにより、エンタープライズレベルの検索における3つの問題分野を一挙に解決したいと考えている。3つの問題分野とは、急速に膨張するデータ全体の管理、多様化が進むデータ(その約90%が非構造型データ)の管理、そして各種のデータベースやデータストアからなるパッチワーク全体に分散する情報の一元的管理である。

 Masalaは、非構造型データの検索/分析に際して多くのユーザーが直面している厄介な問題の解決に向けた一歩となるものだと評価するアナリストもいる。

 Redmonkの上席アナリスト、スティーブン・オグレーディ氏は、「IBMがMasalaで実現しようとしているのは、複数の異なるソースを1カ所に集約する連携型データモデルだ。これによりユーザーは、従来のように個々のデータソースに合わせてプログラムを記述しなくても、異なるソースからデータの検索、インデックス作成、取り込みが行えるようになる。これは大きな前進だ」と話す。

 IBMは今年の初めから、ビジネスインテリジェンス分野には大きな可能性があるという同社の見解を明らかにしてきた。IBMではこの可能性を追求すべく、年商140億ドルのソフトウェア事業部の全部門が一丸となって取り組みを強化している。

 ビジネスインテリジェンスの「再定義」を目指したこの取り組みの中心となるのがMasalaである。この製品は、企業ユーザーが全社に分散する顧客サービスの記録や電子メール、数値表、写真など各種形式の情報をシームレスに収集して「仮想データベース」を作成し、これらの情報がすべて1カ所に存在するかのように表示することを可能にする。

 IBMはMasalaにより、Composite Software、MetaMatrix、「Liquid Data」を擁するBEA Systemsなどの情報統合ベンダーや、Verity、Endeca、Autonomyなどのエンタープライズ検索ベンダーとも競争できるようになる。

 「IBMは、情報統合とデータ検索という2つの機能を武器として、両分野のベンダーに対抗することができる」とオグレーディ氏は話す。さらに同氏によると、この種の機能は「実際のところ、ほとんどのミドルウェアベンダーの弱点となっている」という。

 分析機能という面では、DB2 Information Integratorでは、データウェアハウスに保存された過去の販売記録を、リアルタイムの販売情報やベンダー契約などの非構造型データと相互参照することができる。製品パフォーマンスの全体像を作成し、それを「データダッシュボード」や企業ポータル上で表示するといった機能も備える。

 IBMでは、この検索技術の初期バージョンを自社のイントラネットに配備した。同社のイントラネットは世界最大級の規模だという。「DB2 Information Integratorは、IBMの30万人の従業員が発行する1日当たり80万件のクエリを処理することができた」と同社幹部は話す。

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