コンテンツ管理システム導入のカギは簡単であること――Stellentセミナー

コンテンツ管理システムでビジネスをどれくらい効率化できるのか。投資対効果はどうか。日本ステレントは、10月6日に開催した「Stellentコンテンツ管理実践セミナー」において、この問いに対する解を提示した。

» 2004年10月06日 23時05分 公開
[岩崎史絵,ITmedia]

 日本ステレントは10月6日、「Stellentコンテンツ管理実践セミナー」と題したセミナーを開催、同社CMS製品のデモンストレーションと、実際の活用事例を紹介した。

 プログラム開演前のプロモーションフィルムでは、ユーザー企業としてEmerson Process Managementの事例を紹介した。同社は製造メーカーに対し、プロセス・オートメーションサービスや資産最適化サービスを提供しているEMS(Electronics Manufacturing Service)事業者。

講演する日本ステレントの山下氏

 同社では従来、委託先メーカーの製品を熟知するために仕様書や図面などを書類で管理していたという。だが、紙ベースの管理であったため、検索や情報管理、共有が図れないことが問題だった。これを解決するため、ステレントのCMS製品を導入。これにより、Webベースで文書を管理できるようになり、部門間における情報共有と管理・検索が容易になった。また、コストも350〜400万ドル削減できたという。

 セミナーのプログラムで、日本ステレントのビジネスディベロップメント・マネジャーの山下進一氏が「ステレントが提供する“実践型コンテンツ管理 WCM編”」と題した講演を行った。このプログラムでは、特にWebコンテンツ管理(WCM)に主眼を置いたデモが行われた。

 「Webサイトを効率的に管理するには、ページテンプレートを作るだけではまだ不十分。サイトの管理者、コンテンツの発信元であるビジネス部門、制作者などがそれぞれ作業を分担でき、修正・変更が容易でかつバージョン管理しやすい仕組みを導入することが不可欠」(山下氏)

サイトの開発と運用を効率化するWCM

 そもそもCMSの利用形態は、WCMのほか、ドキュメント管理や動画、音声、ゲームデータなどのデジタル資産管理、会計や経理、監査情報など経営情報の効率的な管理として使われるケースが一般的だ。

 加えて、海外では「Sarbanes-Oxley法」(米国企業改革法)などに対応したコンプライアンスの観点からの導入が進んでいる。山下氏によると、「日本国内ではまずWebサイトのリニューアルや管理の自動化、ドキュメント管理によるペーパーレス化、業務フローの自動化、ポータルシステムのベースとしての利用例が多い」としている。

 日本ステレントは、こうした多様なニーズに対応するため、文書やWebコンテンツを管理する「Universal Content Management」、帳票や画像データなどを管理する「Imaging and Business Process Management」、企業活動の履歴管理やコンプライアンス準拠を支援する「Compliance and Records Management」の3製品を提供する。

 その共通技術基盤として「Document Transform Technologies」がある。この日は、特にUniversal Content Managementの「Web Content Management」にフォーカスした製品紹介が行われた。

 「昨年からWebサイトリニューアルを検討している企業が増えており、予想では来年度までこの勢いは続く。いままでのWebサイト構築の問題点は何であり、どのように解決すればビジネスに有効なのかを見きわめることが大切」(同氏)

 一般にWebサイト構築に当たっては、ページテンプレートを用意し、コンテンツ発信元である各ビジネス部門がテンプレートにテキストや画像などを挿入して公開する体制が取られている。ところがこの方法だと、まずテンプレートを作成するのにコストと工数がかかる。さらに、修正や変更に迅速に対処できなかったり、HTMLに不慣れなビジネスユーザーには負担がかかったりといった問題がある。

 同社のWCM製品「Stellent Web Content Management」では、ページテンプレートを作成、管理、展開するツール群「Stellent Site Studio」を提供している。Microsoft Wordによる編集作業や、HTMLの知識がなくてもフォームを作成できるエディタのほか、ページのバージョン管理や承認フローも定義できるのが特徴だ。

 例えば同社では、米国、ドイツ、オランダの各国の自社サイト、さらに、顧客向けニュースレターの4つのWebサイトを自社製品で管理している。画像やフラグメントなど、Webコンテンツコンポーネントを部品化し、4サイトで共有することで、コストや工数を大幅に削減しているという。

 具体的には、この4サイトで使用しているWordやPowerPoint、画像、PDFなどの全コンテンツ・コンポーネントのほか、スタイルシートやレイアウト情報を1つのウェブベース・リポジトリに格納し、必要なものをピックアップして、Webサイトに公開する仕組みとなっている。

 また、コンテンツの登録者、閲覧者など役割によってアクセス権限を設定できるので、セキュリティも確保できる。これにより、デザイナー、コンテンツ制作者、管理者の作業を分担すしたため、Webサイト構築の工数が大幅に削減できたという。

1分あればサイトの更新が可能に

 では実際の作業はどのようなものなのか。

 更新ツールであるSite Studioの特徴は、Wordでコンテンツを編集したり、フォームを作成するだけで、スクロール機能をはじめとした簡単なイベントを埋め込めるエディタを備えていること。また、Webページの新規開発、修正、変更といった更新が容易なことも挙げられる。

 例えば、文字フォントや色の変更、画像の配置や変更といった作業は、Wordのメニューボタンをクリックするような操作で済み、修正したファイルを保存すればそのまま公開用Webサーバに反映される。公開前にプロセスを定義しておけば、承認を経たものしか公開されないため、不用意に公開ページを変更してしまうといったミスも未然に防ぐことができる。

 デモでは、実際にSite Studioを使って、ページレイアウトやテキスト、フォームの変更を行い、その結果が迅速にWebコンテンツに反映されるまでのプロセスが提示された。フォームの変更は1分もかからない上に、システムにあまり詳しくない業務担当者でも、直感的に使えるテキストエディタが採用されている。これにより、Webサイト構築を難しいと考える業務担当者の不満を減らすことができるという。

 「実際にデモを提示すると、簡単にWebページを更新できてしまうので感動が少ないかもしれない。しかし、簡単で時間がかからないことが何よりも重要なのです」(山下氏)

 また、ページ内のフォームや画像といった部品1つひとつに対しても、セキュリティの設定を行うことができることも紹介された。これにより、アクセスする人によって異なる表示画面を提供できる。さらに、株式情報などの外部データをXML形式で取り込み、リアルタイムにWebサイトに反映する技術の説明も行われた。

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