CMSを基盤に構築する6000ユーザーの企業ポータル

日本ステレントが主催した「ステレントコンテンツ管理実践セミナー」の講演で、エクサエンタープライズソリューション事業部の主任ITスペシャリスト、金子文徳氏が大手生命保険へのStellent導入事例を紹介した

» 2004年10月12日 16時55分 公開
[岩崎史絵,ITmedia]

 日本ステレントが主催した「ステレントコンテンツ管理実践セミナー」の講演で、エクサエンタープライズソリューション事業部の主任ITスペシャリスト、金子文徳氏が大手生命保険へのStellent導入事例を紹介した。

 エクサは、NKK情報システム部門から1987年独立したシステムインテグレータ。ユーザーの視点からサービスを提供することを心がけ、銀行や保険などの金融業界、製造業、流通業、官公庁など、幅広い業種を対象にビジネスを展開している。今回は、ある生命保険会社におけるまだ稼動前のStellent導入事例が紹介された。

 この生命保険会社では、1996年にグループウェアとしてNotesを導入、Notes上で独自アプリケーションが約200稼働していたという。一度は、バージョンサポートが切れるタイミングで、Notesのバージョンアップを検討したが、画面が表示できないなどの理由からこれを見送ったという。その後、NotesをStellentと、別のアプリケーションで置き換える新たなシステムを構築することを決めた。

 新システムでは、ドキュメント管理をStellentに集約し、ディレクトリサービスとNASリポジトリを通じて、ユーザーの認証とアクセス権限のコントロールを行う。一方、既存のNotesの機能は、グループウェアサービスや別のアプリケーションのワークフロー、メールサーバに移行し、ポータルの画面から操作できるようにした。

 例えば、このポータルにユーザーがログインすると、申請している帳票や文書データベースのほか、電子メールやスケジューラといった機能が一覧表示され、画面上からすべてのシステムにアクセスできる。想定ユーザー数は6000名に上っており、規模の大きさに対応することもシステム構築のポイントという。

 コンテンツの登録から参照までの一連のフローは次の通りだ。

 まず、起票者はフォーム上で帳票に必要事項を入力し、Stellentにデータを格納する。同時に、「コンテンツ公開申請」が所属長に渡され、承認されることで、コンテンツが公開されることになる。

 同システムにおけるユーザーの要件として、Webベースでコンテンツ管理システムを利用できること、マニュアルなどの章立て文書をHTMLやPDFで表示できること、文書のバージョン管理ができること、Webブラウザ上でコンテンツの生成および管理ができること、フォルダ階層ごとの検索が可能であることなどが挙げられた。金子氏は「Stellentはこの要件を満たしていた」としている。

コンポーネントと容易なシステム連携

 新システムを実装するに当たってどのような作業が発生したのか。

 金子氏は、「標準画面のカスタマイズ、フォーム入力機能の作成、ユーザー管理、ほかのシステムとの連携においてカスタマイズを行った」と話す。表示メニューや色合いなどは、Stellentの独自スクリプトやHTMLを使って作り込んだという。また、製品そのもののカスタマイズは、「PDFコンバータ」などオプション製品を導入したほか、日本ステレントが提供しているコンポーネントをダウンロードして利用した。

 特に、このコンポーネントがシステムの開発に大いに利用された。同社の情報システム部門は、コンポーネントを活用しながら、徐々に改善を重ねる手法で導入作業を進めたという。ほかのアプリケーションとの連携に際しては、Stellentで実装されているWebサービスなどの標準技術を利用。これにより、Stellentをポータルから操作できるようにした。

 さらに、同氏は、システムはまだ運用前であると注釈しながら、「クラスタリング構成でパフォーマンスの向上を図ったり、フォーム入力機能をさらに充実させたり、さらに、ユーザー要求を基にユーザーインタフェースを改善させることも求められる」と話し、今後のシステム構築における課題を明らかにしている。

講演したエクサエンタープライズソリューション事業部の主任ITスペシャリスト、金子文徳氏



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