テープから攻めるILMの強みを語るStorageTekの臼井氏

情報ライフサイクル管理をテープに比重を置いて提供するStorageTek。臼井マーケットリサーチ担当ディレクターは、最大のライバルにEMCを挙げ、「ディスクのみに頼るEMCのアプローチは十分でない」とけん制する。

» 2004年10月13日 19時39分 公開
[堀 哲也,ITmedia]

 最大のライバルはEMC――。米StorageTekでワールドワイドのマーケットリサーチを統括する臼井洋一ディレクターは、同じ情報ライフサイクル管理(ILM)を企業戦略として推進するEMCにライバル心を燃やす。

 両社の基本的な戦略のコンセプトに差異は少ないが、両社のILMインフラとなる階層ストレージを見ると、両社のポジショニングは大きく異なる。

 StorageTekは、(1)プライマリーストレージ(FlexLine Vシリーズ)、(2)ミラーのセカンダリ(同300シリーズ)、(3)ATA(同200シリーズ)といった3階層のディスクストレージに加え、(4)アクセス重視のテープ、(5)コスト・容量重視のテープ、といった2段のテープ装置の5階層の製品ポートフォリオを持つ。それに対し、EMCは3階層(Symmetrix/CLARiX/Centera)のディスクストレージをそろえている。簡単に言ってしまえば、ディスクから攻めるEMCと、テープから攻めるStorageTekという図式だ。

 これに対し、臼井氏は「すべてディスク行うアプローチでは、本来のILMの力を引き出せない」と主張する。なぜなら、コスト的に見ても、まだテープの方がディスクよりも5分の1ほどの値段と低価格で、オフラインのデータ保管でなければできないことがある点を理由に挙げる。

 例えば、最近注目が集まっている電子メールや電子化された帳票の保管などのコンプライアンス分野では、安全に情報が保管されている必要がある。「しかし、オンラインのディスクでは、ネットワークつながっている以上、ウイルスや予期せぬ攻撃からデータを安全に保管しきれる保証はない」(同氏)。

 実際にテープはなくなるといわれ続けながら、未だになくなる様子もあまりない。むしろなくなると言い続けてきたIBMも、WORM対応のテープライブラリ製品を投入しており、臼井氏は「皆テープの重要性に気がついたんじゃないか」と追い風と見ているようだ。StorageTekは、このテープの強みを生かしながらILMを推進できる点が最大の優位点だという。

 「この強みをフル活用して、データ保護、アーカイブ、最もコストのかかるプライマリーストレージの有効活用にソリューションを提供していく」と臼井氏。

 例えば、「FORUM 2004」で発表されたディスクストレージの「FlexLineシリーズ」も、FC対応とSATA対応の両方を提供しているのは、バックアップのミラーリング先は高速な製品である必要はないとの考えているためだし、データ保護の観点では、「VSM Open」といった仮想テープも発表している。

 さらにデータ保護の点では、必要とする時点のイメージを戻せるようにするContinuance Date Protection(CDP)に基づいたアプライアンス(現段階はトライアル)の商品化も具体的に検討していることを明かした。

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