IT部門をプロフィットセンターへ、CAのITIL対応ソフトウェア

「コスト部門」という位置づけられていた企業のIT部門を、利益を生み出すプロフィットセンターへと引き上げるというCAの取り組みについてUnicenterブランドオーナーの長谷一生氏に話を聞いた。

» 2004年10月13日 19時51分 公開
[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

 コンピュータ・アソシエイツ(CA)は10月8日、企業のIT資産管理についてユーザー向けに提言する「ITマネジメント・フォーラム」を都内のホテルで開催した。セッションでは、企業が持つPCをはじめとしたIT資産を効率的に管理し、これまで「コスト部門」という位置づけられていた企業のIT部門を、利益を生み出すプロフィットセンターへと引き上げるための同社の取り組みが紹介された。講演をした同社Unicenterブランドオーナーの長谷一生氏に話を聞いた。

CAの長谷氏

ITmedia 企業のIT部門が、IT資産の管理の最適化に取り組む理由は何ですか?

長谷 現在のトレンドとして、経営側が情報システム部門に対して、かかったITコストに対して責任を持つよう求めているという状況があります。これは、現在IBMをはじめとした多くの企業が、電力やガスと同じように、使った分だけ支払う「ユーティリティ・コンピューティング」を展開しており、これが浸透してきていることとも関係しています。そして、IT資産管理におけるベストプラクティスとして注目されているのがITILです。

ITmedia ITILについて詳しく教えてください。

長谷 ITILは「IT Infrastructure Library」の略で、ITサービス管理におけるベストプラクティスを体系的にまとめた書籍集です。1989年に英国政府のCCTA(現在はOGC)が第一版を公表し、それ以来、現在ではIT資産管理における方法論として進化してきています。

 ITILにおけるサービス管理の目標は、ビジネスの現在と将来と整合性の取れたITサービスを提供すること。さらに、ITサービスの品質を向上させること、ITサービス提供における長期的なコストを削減することの3つを挙げることができます。実際のプロセスとしては、まずは事業目標を明確化することが先決です。そして、企業が既存のIT資産を把握し、それを自ら評価、あるべき姿に沿って人を教育していくことになります。

 ポイントは、スタッフレベルではなく、管理職レベルの視点から、ビジネス目標を常に意識しながらITを活用する考え方を持つことにあります。

ITmedia 講演では、IT部門をコストからプロフィットセンターへ変えていくという話がありました。具体的にはどういうことを指しますか?

長谷 IT部門をプロフィットセンターに変えるためには、ITの責任者がビジネス目標とITの整合性をより強く意識することが重要になります。つまり、財務面、ITとビジネスの整合性、ITインフラ管理をそれぞれ最適化させることになります。財務面の管理では例えば、システム部門の都合ではなく、ビジネスのニーズに則した予算の管理や計画の立案が求められます。

ITmedia 一般に、まだまだユーザー企業の多くの経営者層はITに無関心と聞きますが、どのように感じますか?

長谷 経営者にとってITは分からないものになっています。アプリケーションサーバ、Webサーバ、CPUなどの用語が出てくると、理解できないために口を出せないのが実態です。しかし、これからのITは、部門単位なのではなく、企業全体として最適化する必要があるため、経営者がトップダウン方式に近い形で意思決定をすることが求められます。

ITmedia CAとしては実際にどのような取り組みをしていますか?

長谷 CAではベストプラクティスとしてのITILをソフトウェア製品群に盛り込んで提供しており、大別すると「サービスデリバリーソリューション」と「サービスサポートソリューション」の2つになります。

 サービスデリバリーソリューションは、ITインフラの使用量を測定する「Unicenter Service Meter」などの製品群で構成されます。ユーザー企業が、ビジネスとITサービスの整合性を取り、SLA(Service Level Agreement)の遵守、サービス品質を保持するためのモニタリング、IT資産の利用状況の正確な把握、ビジネスプロセスやITサービス提供の自動化、リソースの動的管理などを可能にします。

 一方、サービスサポートソリューションは、「Unicenter ServicePlus/ServiceDesk」とオプション製品で構成されます。ITILに基づいたサービスサポート、サービスデスクの運営コスト削減、インシデント管理、社内外のサポートの統合などを可能にすることができます。

 また、IT組織をプロフィットセンターとして運営するという先ほどの話に対応するソリューションとして、ビジネス要件に応じたサービスレベルの設定や、サービス提供にかかる正確なコストの把握を行う「チャージングソリューション」を提供しています。

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