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» 2004年10月14日 19時09分 公開

Itanium 2とLinuxの採用でSGIは光り輝けるか?

日本SGIは、Itanium 2とLinuxを採用した「Silicon Graphics Prism」を発表した。IRIXのエミュレーションソフトも用意し、Onyxシリーズからの乗り換えも積極的に進めていく様子だ。

[西尾泰三,ITmedia]

 日本SGIは10月14日、Intel Itanium 2プロセッサによる64ビット Linuxオペレーティング・システムを採用した、マルチパイプ・ビジュアライゼーション(可視化)・システム「Silicon Graphics Prism」を発表した。米国で先日発表されたもの(10月12日の記事参照)

「Silicon Graphics Prism」

 同社のビジュアルソリューションには、同社独自のMIPSプロセッサとIRIXをベースとしたOnyx4や、さらにハイエンドのOnyx InfiniteReality 4などがある。また、米SGIでは、Windows系のソリューションにフォーカスしない姿勢を明確に持っているが、日本SGIでは、市場を考慮し、日本電気(NEC)とWindowsベースのグラフィックスPCクラスタ「SGI Visual Cluster」を共同で商品化・販売し、ローエンドをカバーしている。

 今回の製品の位置づけとしては、性能面では、製品ラインアップの中では最高性能を実現しつつ、価格面ではOnyxシリーズ以下に押さえたものとなる。

コストパフォーマンスの高い製品構成

 同製品は、システムの規模に応じた3モデルで構成される。11月から出荷されるのは、CPUが最大8基、GPUは最大4基搭載可能な「Power」だけだが、16CPU、8GPU構成が可能な「Team」、512CPU、16GPU構成が可能な「Extreme」が順次出荷予定。なお、Extremeは、同社のAltixなどと融合させる案件など、カスタムベースでの案件も取り扱う予定。

 SGI NUMAflexアーキテクチャを採用し、シングルシステム上で複数のCPUによる大規模共有メモリを実現しており、テクニカル・コンピューティング環境およびシミュレーション環境に必要とされる大規模で複雑なデータを高速で処理できる。

 また、GPUにはATIテクノロジーズの製品を採用し、コストパォーマンスの高いマルチパイプ(複数個のグラフィックス・エンジン搭載)環境を実現している。

 同製品が狙うターゲットとしては、気象、流体、地質などの科学技術計算分野や医療分野、および製造業のCAE分野(Computer Aided Engineering)などが挙げられる。しかし、OS側の環境などが整備され次第、デジタルメディアの分野にも再進出していきたいという。ちなみに、日本SGIでは2年間で300システムの販売を見込んでいる。

 製品はモジュール構成をとっており、1システムにはBaseモジュールとXG2Nモジュールが各1台必須となる。BaseモジュールにはItanium 2を2基、メモリは最大24Gバイト搭載可能。また、XG2NモジュールはItanium 2を2基搭載するほか、2ch出力に対応したATI R350のグラフィックスパイプを2枚搭載する(PCIスロットの空きはない)。なお、2005年の春を目処に、XG2Nモジュール側は0 CPUに対応予定。

 このほかに用意されているモジュールとしては、最大4パイプによるDVI-D入力に対応し、レイテンシなく映像を合成し出力させるためのコンポジター、8個のNUMAlink4の接続口を備えるルーターなどがある。ルーターについては、今後対応するノードのモジュールを4つ以上接続する際に2台以上必要となる。

 以上より「Power」の最小構成を考えると、BaseモジュールとXG2Nモジュール各1台という構成で、4CPU、2GPUという構成となる。このときの価格は850万円からとなっている。パフォーマンスを考えると、Onyxシリーズの存在意義がぼやけてしまうところだが、日本SGIでは、後述するIRIXのエミュレーション機能などをアピールし、乗り換えのメリットをアピールしていく方向性のようだ。とはいえ、チップが熱くなりづらい点や、IRIX独自の機能、そしてアプリケーションの充実度などを考慮し、当面は併売という形態がとられる。

同社で展示されていたPrism(クリックで拡大します)

OSとGPUのロードマップ

 なお、OSについては、Red Hat Enterprise Linux ASを採用している。しかし、デフォルトのままでは、グラフィックス周りに弱い部分もあるため、OpenGLのグラフィックライブラリなどをまとめたものを「SGI ProPack」というCD-ROMの形で提供する。このProPack製品のうちのGPL/LGPLの一部のソフトウェアは、SRPMSとして同社のWebページからダウンロード可能。

 また、Linuxカーネル2.4系を採用したRed Hat Enterprise Linux ASではなく、Linuxカーネル2.6系を採用したSUSE LINUXなどを採用してもよさそうなものだが、これについては、「確かに、Linuxカーネル2.6系であればリアルタイム性能なども向上が見込めると認識しているが、現状ではISVが付いて来れない部分もあると判断し、このようにしている。今後はSUSE LINUXなどの搭載も当然検討している」(ソリューション開発推進本部ビジュアルソリューション開発シニア・マネージャーの矢部 充氏)とした。

 このほか、GPUに関しては、当初はFireGL X2を、将来的にはFireGL X3を採用していく予定で、かつ市場の変化に合わせてAGPからPCI-Expressに移行していく見込み。「今回はATIのGPUを採用しているが、市場にもっとすばらしい製品が出てくればそちらを採用する可能性も当然ある。そうした柔軟な対応が取れるのもPrismの特徴のひとつ」(矢部氏)。

Onyxシリーズからの乗り換えも

 先ほど、従来のOnyxシリーズからの乗り換えも推奨すると述べたが、ここで、既存のIRIXユーザーが気にするのは、「既存資産は活用できるか」という点だろう。これについては、Transitiveという会社のソフトウェアをOEMの形で提案していく予定だという。同社のソフトはいわばIRIX環境のエミュレーションソフトで、MIPS-IRIX用に開発されたプログラムを修正することなしにPrismシステム上で動作可能にするという。

 とはいえ注意しなくてはならないのは、これがすべてのソフトウェア資産の移行を可能にするものではないことだ。Transitiveを利用したとしても、GLに強力に依存しているようなものは移行できない。

 独自の機器で販売の拡大を図ろうとしてきた同社が今回とった施策は、光り輝く未来へとつながるか、注目したい。

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