TCO削減でSAPのさらなる高度利用を実現する富士通のFlexFrame(1/2 ページ)

国産コンピュータベンダーとして唯一、SAPとグローバル・テクノロジー・パートナー契約を締結する富士通は、SAP自身が抱え込んでしまったITシステムの複雑さをテクノロジーで解決する道を探った。その成果が、ブレードサーバ、NAS、そして自律化および仮想化の技術を組み合わせたFlexFrameだ。

» 2004年10月29日 21時50分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 富士通は新世紀を直前に控えた2000年12月、SAPとグローバル・テクノロジー・パートナー契約を締結した。この契約に基づき、同社はドイツ・ワルドルフのSAP本社にグローバル・コンピテンス・センターを構えている。同様の契約を交わしているのは、サーバベンダーでは、ほかにIBM、Hewlett-Packard、Sun Microsystems、UNISYS、Dellの5社で、国産コンピュータベンダーとしては富士通だけ。

 1996年にSAPジャパン内に「富士通-SAPコンピテンスセンター」(FJ-CC)を開設し、SAPビジネスに参入した同社が、その絆を強固にする転機は、1999年に訪れた。シーメンスとの合弁会社、富士通・シーメンス・コンピューターズの設立だ。SAPは欧州を拠点とする富士通シーメンスから大量のサーバを購入しており、データセンターで占める割合は1/4に上る。その台数は、UNIXサーバが160台以上、IAサーバは1600台を超えるという。

 しかし、ITシステムの拡大化と多機能化は、必然的に導入および運用コストの増大を伴う。SAPも例外ではなかった。

 「自社のビジネスアプリケーションによってビジネスを拡大させてきたが、システム自体の拡大化と多機能化がもたらす問題を抱えてしまった」と話すのは富士通の宮崎俊尚テクノロジーコンサルティング部プロジェクト部長。

富士通-SAPコンピテンスセンター長も務めている宮崎部長

SAP自身がシステム拡大の課題に直面

 1993年、SAPが日本市場でERPビジネスを展開し、10年以上が過ぎた。幾つかのフェーズに分けて見ると、SAP R/3バージョン4.0の時代が「データの一元化と業務の標準化」を目指した最初の段階といえる。1999年になるとバージョン4.6、およびmySAP.comが登場し、情報の高度利用、すなわち分析や計画のための機能が提供された。インターネットビジネスへの対応が図られたのもこのころ。この段階からシステムの多機能化がさらに進み、課題としてTCO削減が浮上してくる。SAPは「3ランドスケープ」を推奨しているからだ。

 3ランドスケープとは、「開発」「テスト」「本稼動」という3つの環境をそれぞれ別インスタンスで構成すること。SAP R/3では、品質保証のために推奨されている。それはそれでいいのだが、新しい機能を提供するコンポーネントを追加するには、さらに3つの環境を別に用意しなければならないことを意味する。

 富士通マーケティング本部フィールドプロモーション部の高橋真言課長は、「ビジネスインテリジェンスやSCMなどを導入し、情報を活用したいと考えれば、それなりのシステムが必要になる」と話す。

「SAPをさらに活用していくにはTCO削減が避けて通れない」と高橋氏

 最近ではSAP NetWeaverによって「日常業務で情報をどう活用するか」という段階に入り、今後は「BPM」(ビジネスプロセス管理:ビジネスプロセスの監視と改善)機能も強化されてくる。コンポーネントの粒度はさらに細かくなり、システムの拡大化と多機能化に拍車がかかる。もちろん、企業を取り巻く環境の変化も激しさを増しており、システム変更をいかに短いサイクルで実施できるかも課題となってくる。

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