TCO削減でSAPのさらなる高度利用を実現する富士通のFlexFrame(2/2 ページ)

» 2004年10月29日 21時50分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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 「SAPと同様、ユーザー企業らもTCOが膨れ上がり、もはや投資が新規プロジェクトに回らなくなってしまった」と高橋氏。

 呪縛を解き放つべく、SAPは「Parking Lot Project」をスタートさせた。動的にハードウェア資源を割り当てられるインフラストラクチャーレイヤをハードウェアベンダーらの力を借りて実現し、TCOの大幅な削減を図ろうというプロジェクトで、のちに「Adaptive Computing Infrastructure」として実を結んだ。

 Adaptive Computing Infrastructureは、SAPが提唱する「Enterprise Services Architecture」(ESA)の基盤といえる。ESAは、4つのレイヤから構成され、上からビジネスプロセスを定義し、業界特有のソリューションマップを作成するレイヤ、それを実行するビジネスアプリケーションのレイヤ、インテグレーションとアプリケーションのためのプラットフォームレイヤがあり、縁の下の力持ちとしてAdaptive Computing Infrastructureがそれらを支える。

SAPの高度利用を支える縁の下の力持ち

 富士通シーメンスはコンセプトづくりの段階からAdaptive Computing Infrastructureのプロジェクトに参画、それを実現するプラットフォーム製品の提供でも他社に先駆けた。IAブレードサーバである「FlexFrame for mySAP Business Suite」は今年5月、SAPが次世代プラットフォームとして認定する「Adaptive Computing Compliance Test」を世界で初めてクリアし、6月には協業のさらなる強化も発表している。日本市場においてFlexFrameとSAP NetWeaverを組み合わせたソリューションを両社で推進するのが狙いだ。

 FlexFrameは、富士通シーメンスのブレードサーバ、ネットワーク・アプライアンスのNAS(Network Attached Storage)製品、自律化および仮想化などの技術を組み合わせたSAPソリューション向けのプラットフォーム。SAPアプリケーションを物理的なサーバから切り離し、資源を動的に割り当てることができるため、サーバ数の削減が可能となる。障害を検知するとスペアノードへフェールオーバーさせる機能も盛り込まれており、これまでより少ない資源で高い可用性が確保できる。また、NASを活用し、各サーバはOSイメージを共有することができるため、パッチ適用も一度で済む。

 宮崎氏によれば、欧州では既に約40社の導入実績があり、ドイツの大手自動車照明機器メーカー、Hellaでは60以上のSAPシステムをFlexFrameに載せ替え、30%以上のTCO削減を実現したという。

 FlexFrameによってTCOを低減できれば、顧客らはNetWeaverによるさらに高度な情報活用やBPMによるビジネスプロセスの継続的改善へとIT投資を回すことができるようになる。

 「Adaptive Computing InfrastructureはSAPが描く世界では“縁の下の力持ち”。FlexFrameはその強力なエンジンだ。富士通は、そのテクノロジーにさらに磨きをかけていきたい」と高橋氏は話す。

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