N1 GridでTCO削減、SAP基盤としてSPARC/Solarisサーバは実証済み(1/2 ページ)

グリッド製品とサービスを組み合わせた「N1 Grid for SAP Solutions」や、実績のあるSPARC/Solarisサーバラインは、SAPのさまざまな取り組みを強力に後押しする。それらは「サーバ統合」や「初期コスト削減」というSAP顧客らの声にこたえるものだ。

» 2004年10月29日 22時02分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 Sun Microsystemsは今年5月、SAPの年次カンファレンス「SAPPHIRE 04 New Orleans」で、SAPとの提携を強化し、SAPユーザー向けのグリッドソリューションを提供すると発表した。Sunのグリッド製品とサービスを組み合わせたもので、「Sun Infrastructure Solution for N1 Grid for SAP Solutions」と呼ばれる。

 「N1」の発表は3年近く遡る。同社は2002年2月、複雑なコンピュータ資源を仮想化し、あたかも大きな1台のコンピュータのように見せるN1構想を発表した。「N」台のコンピュータを「1」台に見せることからこうした名称が付けられたという。管理負荷の爆発的な増加に対するSunの解答だ。今年2月には、グリッドコンピューティングがエンタープライズ市場でも浸透するとみた同社は、名称を「N1」から「N1 Grid」に変更している。

 「ビジネスインテリジェンスやCRMへと機能拡張したいSAP R/3ユーザーは、システムランドスケープの複雑化に直面している」と話すのは、サン・マイクロシステムズでISVビジネス本部長を務める川崎哲郎氏。

 SAPは、「開発」「テスト」「本稼動」という3つの環境をそれぞれ別インスタンスで構成する「3ランドスケープ」を推奨しているからだ。SAPアプリケーションが1つ増えるごとにサーバも3台必要になる勘定だ。

ドイツ・ウォルドルフのSAP本社を幾度も訪れたという川崎氏

 SAPPHIRE 04 New Orleansで発表されたN1 Grid for SAP Solutionsは、仮想化技術によってサーバプールをつくり、動的にサーバ資源を割り当てたり、管理を簡素化することによって、TCOを劇的に引き下げることを狙っている。実際、SAPシステムをSPARC/Solarisサーバで稼動させていた英国のEDSがN1 Grid for SAP Solutionsを導入したところ、CPUを55%、OSインスタンスを30%それぞれ減らし、運用保守コストも41%節約することに成功しているという。

 「国内でも大企業がメインフレームを含めたサーバ群を集約するためにSPARC/SolarisのブレードサーバとN1 Gridを導入するなど、実績を上げてきている」(杉本博史フィールドマーケティング統括本部長)

 もちろん、ストレージをSAN(Storage Area Network)によって仮想化し、使用効率を高めることもできる。

サンの製品、ソリューション、サービスすべてを統括する杉本氏

ハイエンドでもローエンドでも

 最近、サンに寄せられる顧客らのニーズは次の2つに分けられるという。「サーバ統合」と「初期コスト削減」だ。

 前者は大規模なサイトに多く、既にさまざまなシステムが稼動しており、SAPシステムも複数稼動しているケースだ。「彼らはハードウェアの保守性を高め、運用保守をより簡素化したいと考えている」と川崎氏は代弁する。

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