ICタグの普及と雇用問題月刊コンピュートピア(2/3 ページ)

» 2004年11月15日 23時04分 公開
[岡崎勝巳,月刊コンピュートピア]

 単一プラットフォームとは、「単一のプラットフォームを単一の利用者が活用するケース」だ。たとえば工場内の工程管理といった特定の目的に合わせてプラットフォームを構築するケースが該当する。このプラットフォームを複数の利用者が活用するようになると、共有プラットフォームへと進化する。部品にICタグを取り付け、自社内の工程管理を行うと共に、物流会社や関連会社とつなげるSCMを実現するためにプラットフォームを共有する場合がそれだ。

 さらに、全く異なる分野の企業同士がそれぞれ抱えるプラットフォームを連携させ、共同活用するようになると連邦プラットフォームとなる。プラットフォームの高度化は確かにICタグの利用促進には欠かすことができないだろう。単一プラットフォームでは利用は特定の企業内での利用にとどまるからだ。

 共有プラットフォームでは、類似する分野にとどまりながらも、関連企業も巻き込みつつICタグの利用は進むことが予見される。さらに連携プラットフォームでは従来にはなかった新サービスの登場も期待できる。

 たとえば自動車会社が生産管理のために部品に取り付けたICタグの情報を使い、ガソリンスタンドは顧客に適したサービスを展開できるようになる。新サービスの登場が、新たな雇用を生む可能性も決して否定はできないだろう。

現実味がないアプリケーション

 ただ、プラットフォームの高度化により実現されるアプリケーションは、果たしてICタグでなければ実現できないものなのであろうか。すでにメーカー各社は既存の技術を用いることでSCMの構築を進めており、ICタグが必要不可欠かといえば「否」というのが実態だろう。また、連邦プラットフォームに至っては、前記のようなサービスが生まれる可能性も考える必要がある。

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