ネットアップ、ストレージ・グリッドへ向けて新OS

日本ネットワーク・アプライアンスは、同社NASの専用OS「Data ONTAP」の最新版を発表した。グリッド・コンピューティングをストレージの面からサポートする「ストレージ・グリッド」の実現へ向けて、新機能を搭載した。

» 2004年11月18日 18時49分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 日本ネットワーク・アプライアンス(ネットアップ)は11月18日、同社NASの専用OS「Data ONTAP」の最新版を発表した。グリッド・コンピューティングをストレージの面からサポートする「ストレージ・グリッド」の実現へ向けて、新機能を搭載した。

 新バージョン「Data ONTAP 7G」で搭載された新機能は、「FlexVol」と呼ばれる動的にボリュームを変更できるデータ管理機能と、ストレージ容量を消費を抑えてデータのクローンを作成できる「FlexClone」機能の2つ。

 FlexVolは、仮想化技術を利用してボリュームの動的な割り当てを可能にする。通常、キャパシティプランニングを行ってから、ディスクに割り当てていたボリュームを、後から共有化されたストレージプールの空き容量を利用してボリュームを拡大したり、縮小したりすることができる。

 この機能により、ディスクの利用率が改善され、容量のプロビジョニングの作業を簡素化することが可能だ。「従来は予測に基づいて事前にボリューム設定を行わなければならなかった。物理ストレージとデータを切り離して管理できるようになる」と、アジア太平洋担当副社長のトム・チン氏。

 また、ディクス同士で互いの性能を共有するため、パフォーマンスが向上するメリットもあるという。

トム・チン氏 「ディスクの管理ではなく、データに基づいた管理がトレンドだ。これからは、仮想化を利用して顧客が問題としているディスクの使用効率を高める方向に持って生きたい」とネットアップのアジア太平洋担当副社長、トム・チン氏

 一方、FlexCloneは、ディスク消費スペースを抑えてクローンを作成する機能。同社のファイルシステムWAFLとSnapShot技術を応用しているため、データブロック変更部分のみでクローンが作成できる仕組み。クローンのオーバーヘッドは10%程度で済むという。クローンから、さらにサブクローンを作成することもできる。「特に、データのモデル化やクローンの管理が煩雑になるアプリケーションのテスト環境や開発環境で有効だ」(チン氏)。

 ネットアップでは現在、「ストレージ・グリッド」構想を進めており、2月に買収を完了した米Spinnaker Networksの「SpinOS」技術と同社のWAFL技術の統合を、構想のキーテクノロジーに据えている。その中で、FlexVolはこの構想実現に向けた重要技術と位置づけている。

 「ストレージ・グリッドに到達するには、まだ2、3年はかかるだろう。今あるシステムを有効に活用するためのFlexVolは、その途上にある機能だ」(チン氏)

 既存のネットアップユーザーは、Data ONTAP 7Gへ無償でアップグレードできる。

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