アダプティブ・エンタープライズ――その心は自動化と監視(1/2 ページ)

Hewlett-Packardは先週のHP Software Universeにおいて、同社のアダプティブ・エンタープライズ構想をいっそう現実のものに近づけるといういくつかの発表を行った。

» 2004年12月07日 23時34分 公開
[IDG Japan]
IDG

 先週、スペインのマドリードでキックオフした「HP Software Universe」においてHewlett-Packard(HP)が主催した記者会見には、EMEA(欧州、中東、アフリカ)地域から約2900名の参加者およびマスコミ関係者が集まった。HPはその中で、同社のアダプティブ・エンタープライズ戦略に関する一連の発表を行った。

 HPでアダプティブ・エンタープライズを担当するノーラ・デンゼル上級副社長によると、今年のカンファレンスの基本テーマは、「Capitalize on Change」(変化を機会としてとらえる)。アダプティブ・エンタープライズの最終目標は、ビジネスとITをシンクロナイズさせ、CIO(最高情報責任者)がビジネスに俊敏性を導入することを可能にすることだという。

 「各ビジネスプロセスあるいはビジネス行為には、幾つかのITプロセスが伴う。だから特定のITプロセスを自動化する必要があるのだ」とデンゼル氏は語った。

 今日に至るまで、真の「アダプティブ・エンタープライズ」は、紙の上では整然と見える学術理論の域を出なかったという。「しかしわれわれが1年前に約束したことが、HPの新製品や新サービスの発表を通じて実現しつつある」とデンゼル氏は付け加えた。

 「われわれは既に1年半前の時点で、HPが真のアダプティブ・エンタープライズを実現するには、ビジネスプロセス機能を深化させ、マネージドサービスという領域にもっと踏み込む必要があることを認識していた」と同氏は続ける。

 この路線に沿った動き、そしてインフラ市場における同社の成功の結果、HPはアダプティブ・エンタープライズを単なる学術理論を超えるものにできたという。

 「われわれは驚異的な進歩を成し遂げた。既に300社を超える企業がAgility Assessment Indexに登録する一方で、コンサルティング手法を多用したアプローチで臨むよう当社の販売部門を再編した」(同氏)

 HPによると、アダプティブ・エンタープライズ機器の注文は現在までに81億ドルに達しており、この部門を同社の全売上高の50%を占めるまでに成長させるのが目標だという。「ソフトウェアはHPにとって戦略的分野だ」とデンゼル氏。

 しかし、アダプティブ・エンタープライズというコンセプトは決して完璧なものではない。HP自身も、残された課題は多いことを認めている。

 「しかし多くは既に達成された。残された課題は、自動化を推進することによって、ビジネス上の決定から、ITがその決定に連動するまでの時間を短縮することだ」と、HPの管理ソフトウェア部門のトッド・デラフター副社長兼ゼネラルマネジャーは付け加える。

 同氏によると、購入したらそのまま導入できる既製品のような「アダプティブ・エンタープライズ」は存在しないという。「企業は段階的に導入する必要がある。モジュラー方式のビルディングブロックを使用して、ビジネスで必要とされる場所にソリューションを配置するのである」とデラフター氏は説明する。

 さらに同氏によると、企業がアダプティブ・エンタープライズを実現するというのは、技術への投資であると同時に一つの考え方であり、それぞれの企業が真のアダプティブ・エンタープライズに関して独自の考え方を持っている。しかし基礎となる原則は同じだという。HPの場合、アダプティブ・エンタープライズとは、ITとビジネスプロセスとの連携を自動化することによって、企業が変化を機会としてとらえるのを支援することを意味する。

買収の成果となる新製品

 HPは、ビジネスプロセスとITとの連携を自動化することを目指した新製品およびソリューションも発表した。これにより、「アダプティブ・エンタープライズ化」した企業が、変化するビジネス上の優先度に応じてITリソースを割り当てることを可能にするという。

 今回発表された「HP OpenView Automation Manager」は、HPが今年買収したNovadigmとConseraの両社の技術を組み合わせた最初の製品。

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