オープンソース・ジャパンのIOSSA、Java攻勢の切り札は半額

OSSにおける開発と構築基盤の確立。新提唱のアーキテクチャ「IOSSA」は、エンタープライズにおけるOSS利用を推進すべく、OSJのJava攻勢第一弾となる。

» 2004年12月14日 17時05分 公開
[木田佳克,ITmedia]

 LAMP(Linux、Apache、MySQL、PHP)の技術を基盤として、企業利用アプリケーションに相応しいアーキテクチャを構築する。オープンソース・ジャパンが提唱する「IOSSA」(Integrated Open Source Systems Architecture)は、Java対抗のエンタープライズ戦略、と同社、代表取締役の角田好志氏は語る。

 「これまでオープンソース利用の基幹サービス構築には、Java陣営などと比べ不透明な部分が多かった。それは、比較的、開発、構築について捉えどころのない点、そしてJavaで言うコモディティ化のきっかけとなるフレームワークなどが存在していなかったことだ」と角田氏。

多くのOSS利用SIベンダーはまだ利用基盤を確立していない、と代表取締役の角田好志氏

 オープンソースソフトウェア(OSS)個々には、StrutsなどJavaにおける開発のためのフレームワークなどがあるが、角田氏が指摘するのは、オープンソースで構築までをカバーするアーキテクチャ基盤のこと。言語基盤となるのはPHPだ。

 昨今の事例から、PHP言語は「楽天市場」や内外自治関連サイトでの構築に採用、さらに新版PHP 5におけるオブジェクト指向の強化は、エンタープライズ基盤として相応しい展開だという。PHP 5自体の方向性もそうだ。

 一方で、「オブジェクト指向もひとつの方向性ではあるが、スクリプトベースのテンプレートを用意する手法も重要」と角田氏。「Cobolでも歴史ある比較的可読性の良いソース形態は、現在でも基幹構築に適しているのではないだろうか。エンタープライズ=Javaという風潮があるが、構築規模はさまざまなため、EJBを必要としないJSPレベルでも選択肢を用意すべき。事例からも大規模な基幹利用は現実的なもの」と語る。

 また、「大手ベンダー担当者からも、OSS利用によって自社開発アプリでもソース開示の必要性があるのでは? などとライセンス誤解が多い」と言い、まだまだエンタープライズで利用すべく情報が行き渡ってないことを角田氏は強調する。

 新たに提唱されたIOSSAは、これら今までは不在だったと思われる開発、構築基盤を明確にしていく狙いのもの。そして、IOSSAアーキテクチャ上で具現化していく第一弾として「Smart LAMPプログラム」サービスが開始された。このサービスは、1億円以上のJava案件であれば半額で開発、構築すると明言された戦略的なものだ。

IOSSAアーキテクチャは、図左側LAMP上での展開を第一弾としてSmart LAMPプログラムで開始。今後、図右側への横展開を行っていく

 Smart LAMPプログラムは、業務アプリケーション構築に相応しい機能を実現すべく、LAMP上にコーディング手法、データベース設計、入力画面モジュール、帳票出力モジュール、コンバージョンツールを用意し、構築(開発)フレームワークとして確立する。OSSを利用するSIベンダーの多くは、各社それぞれが注目したツールをカスタマイズし、不足機能を開発で補うというアプローチだが、より捉えどころのあるテンプレート(モジュール)を示し、具体化していくことが普及への要だという。

 さらにLAMPを超える横への広がりとしてIOSSAでは、Linuxに限らずBSD(FreeBSD、MacOS Xなど)にもすそ野を広げ、その上にはZopeによるポータル構築、セキュリティ基盤も確立していくという。

 また、今後の展開について「既存のLAMPを基としているSmart LAMPプログラムは、あくまでもIOSSAの第一弾。今後は、ERPにも広げていく」と角田氏。

 OSSでのERPソフト選出は? との問いに、「現在確定を行うための調整中」と角田氏は具体的なコメントを控えたが、2005年には発表ができるよう進めているという。

 角田氏はまた、IOSSAで確立したテンプレート(モジュール)の成果は現在のところ未定なものの、形を変えるなどしてOSS還元の意向も明らかにした。

 前身ゼンド・オープンソースシステムズがオープンソース・ジャパンとして社名変更されて3カ月が経ち(関連記事)、同社はPHPに止まらないZopeも傘下に迎えた。同社のオフィスビル内にはOSDLジャパンも移転し、OSS総本山のひとつとなっている。

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